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リップヴァンウィンクルの花嫁

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東京で派遣教員をしている皆川七海は、鉄也とSNSで知り合った後に結婚。
結婚式の代理出席をなんでも屋の安室に頼む。しかし、間もなく鉄也の浮気が明るみに。ところが七海が浮気をしたと義母に責められ、家を出ていくことになる。
そんな七海に安室が結婚式の代理出席や、月給100万円の住み込みメイドのアルバイトを紹介。そこでメイド仲間で、型破りで自由な里中真白と出会い――

出演:黒木華/綾野剛/Cocco/原日出子/りりぃ 他
監督:岩井俊二

平日に休みをもらったタイミングで見に行くことに。
平日お昼でしたが、それなりに観客がいました。
 
岩井俊二監督作品は、リリィ・シュシュのすべてから、花とアリス、ヴァンパイア、花とアリス殺人事件と新作が公開される度に見ているのですが、公開から時間が経ってようやく観るにいたったのは、
 
1.原作本が微妙だった。
2.上映時間が3時間(!)
 
という理由からでした。
 
まず先日読んだ本については、七海の優柔不断で流され過ぎる性格が我慢できず、3分の2くらい読むのが辛かったということもあり、そして案の定その3分の2の辛いところが描かれているのか、3時間という尺に慄いてなかなか観にいくタイミングが掴めませんでした。
 
旅疲れでもしかしたら途中で寝てしまうのではないか?
そう思いながら見始めましたが、意外と最後まで長いとは感じず観終えることができました。
 
それはひとえに、出演者達の演技力の賜物もあると思うのですが、Coccoが原作本と同様真白はこの人しかいないわ!と思えるほど、想像以上に良かったということが大きいかもしれません。
 
黒木華は観た目的なものでは岩井監督お墨付きの蒼井優系の顔立ちだと個人的に思うのだけど、演技力では蒼井優ほど惹かれた事がないんですよね。
いい意味で地味なのね。華がないという訳ではなく、あーこういう子ってきっといるよなあ、と思わせるほどの自然さがあって、だからこそあまり印象に残らない感じ。
 
リリィで初めて蒼井優を知った時の衝撃と比べると、「東京オアシス」の時に出ていたあの子だったのか!というほど、全然記憶に残っていないし。
 
演技力のある女優さん、と評価されているので批判する訳ではないのですが、この映画は完全にCoccoのものだったなあと、私は思いました。
 
あと綾野剛も本当に役になりきってしまうほど演技が上手い俳優さんですが、Coccoの前では霞むくらいでしたもん(あくまで個人的な意見ですけど)。
 
真白の(この話の中では仕事=AV)仕事にかける情熱、奔放さ、そして脆さをとても自然に演じられていました。久しぶりに歌うところも観る事ができ、初めてCoccoの曲を聴いた時の衝撃やらを色々と思い出させてくれました。
 
原作本の方でもそうだったのですが、真白が出てくるまでのエピソードが無駄に長い。。
ただ、映画としては本みたいに説明し過ぎなくても映像で分かる部分も多いので、本に比べたらまだダラダラしていなくて良かったなとは思いました。
 
だけど同級生と鍋を食べるシーンって必要だったのかなあ。
確か映画ではこの子がAVに出たというような台詞はなかった気がするし、のちの真白の仕事の話の伏線でもあると思っていたのですが、それがないのに出す意味ってあったのか??と疑問。
このへんはカットしても良かったのではないでしょうかねえ。

結局、安室の目的って何だったのだろう。
最後のシーンは本気で泣いてしまったのだと思いたいけど、一応俳優でもある訳だから演技という可能性もなくはないのか。
 
七海といういいカモを見つけて色々とはめたり騙したりでお金を巻き上げているようでいて、微妙に気を付けた方がいいですよ、とかアドバイスしたりするところが根っからの悪い奴ではない事の証明でもあるのかな。
 
見た目も出てくるシーン毎に異なり、演技力もあるので安室の憎めないキャラが綾野剛が見事に演じていましたね。
 
あとは最後のりりぃさんのシーン。
あのお歳でなかなか勇気がいるシーンだったかとは思いますが、女優魂を感じました。
何だかんだいっても母親なんだ、とはっとするシーンでしたね。

総合的に見て、映画は嫌いではなかった、という感想。
 
本はもう読む気もおきませんが、読んだことで映画で不足していた情報の補てんにはなったかなあ。
元々岩井俊二監督の映像が好きなのもあるし、映像化したものと本は全然違うかも。
 
もし本を先に読んで無理って思ったとしても、映画は見てみて欲しいですね。
 
ただ、これまで岩井俊二監督の作品を見て感じる鑑賞後の余韻が全く感じられなかった初めての映画でもありました。
 
(3.5点)