夫と子供と暮らす岸辺野裕里(松たか子)は、姉の未咲の葬儀で未咲の娘・鮎美(広瀬すず)と再会する。鮎美は心の整理がついておらず、母が残した手紙を読むことができなかった。裕里は未咲の同窓会で姉の死を伝えようとするが、未咲の同級生たちに未咲本人と勘違いされる。そして裕里は、初恋の相手である小説家の乙坂鏡史郎(福山雅治)と連絡先を交換し、彼に手紙を送る。
-------------------------------------------
岩井俊二監督の最新作。
ということで、個人的に期待度がかなり高かったのです。
今回東宝系作品ということもあり、予告CMもバンバン流れていますねー。
前売りを購入し、昨日映画館に観に行って参りました。
期待度が高かった理由としては、あの「Love letter」を彷彿とさせる世界観、キャスティングというのもあるでしょう。
私は「リリィ・シュシュのすべて」で岩井監督を知ったクチなのでかなり遅いと思うのですが、その後で過去作品を見た中で、過去作の中では一番好きな作品だと思っています(一番は、映画の常識をぶち壊した、というくらい衝撃を受けた「リリィ・シュシュのすべて」で、それと同じくらい「花とアリス」も好きなんですけども)。
中山美穂と豊川悦司も登場ということで、当時のファンというか、昔からの岩井俊二監督ファンと思われる、おっちゃん達や年齢層高めのご婦人も多かったです。
若者よりも結構上の世代が多い印象でした。
さて感想です。(ネタばれあり)
うーむ。なんと言ったらいいのか。
岩井監督の映像なので、ひたすら見ていられるんです。映像美。音楽も合っているし。
何より広瀬すずと森七菜のショット、過去を演じる広瀬すずと神木君の美しさ。
いっそ高校時代をずっと見ていたいとも思える素敵な画面でした。
ですが、、なんかこう、どういう話だった?と言われると「うーん」としか言いようのないこのもやもや感は何なのでしょう。
つまらなかった、という訳でもないし、途中で飽きたりした訳ではないんですが、期待しすぎたんでしょうかね。どうももやもやする感じでした。
松たか子さんが主演のはずですが、後半は完全に福山と広瀬すず中心の展開に。
高校生で初恋?
何十年も忘れられないってちょっと信じられない・・・小説に書くとか。
と思ってしまうのは、肝心の大学時代のシーンが全くない、ということ。
妹を絡ませるには、高校時代をメインに据えないといけなかったのかわかりませんが、二人が付き合っていた、という大学時代の話が会話だけで語られるので、高校時代の一方的な片思いの状態から、どうなってそうなったのか、という肝心な部分がなく、見ている側としては完全に置いてけぼり状態でした。
また、中山美穂と豊悦が登場するものの、場末の飲み屋で働く女?とどうしようもない元旦那という役なので、「Love letter」のあの爽やかさはどこへ・・・と思ってしまい、残念に思いました。敢えてこの役をこの二人のキャスティングにした意味ってあったのだろうか。。と。
福山だからこそ、何十年も一人の女を思い続けている役も格好良く思えるかもしれないけど、普通に考えたらなぜそこまで固執するのか?尚更二人の間にどういうやりとりがあったの??と思ってしまうばかりで不自然に感じました。
そして最後に娘に託したあの「手紙」。
そんな手紙を残したのに、母親は何故自殺してしまったのか、腑に落ちませんでした(私の理解力が足らないのかな。。)
前半の、大人になった妹を演じる松たか子さんのコミカルなシーン、森七菜の成長した姿としか思えない仕草や行動が凄く上手かったです。
話としても時々くすっと笑ってしまうシーンも多くて良かったのですがね、姉の死の真相を告白するあたりから、急に重苦しい展開になってしまって、敢えてこの設定にする必要はあったのかしら・・・と思ってしまいました。
切ない、というより急に重い設定でしたし。。
ストーリーとしては何とももやもやしましたが、
松たか子さんは言わずもがな、現在と過去を演じる広瀬すずと森七菜、過去を演じる神木君がとても良かったです。
神木君はやっぱり学生役のイメージが昔から強いから、まだ違和感ないです(笑)
本当に広瀬すずは、つくづく美人だなあと・・
そして十分に可愛いのに、確かにこんな姉がいたら比較されるし霞むかも・・・という絶妙な森七菜のキャスティング。
美人で生徒会長もやっていて、生徒の信頼も厚くて全校男子のマドンナ的存在の最強女子、広瀬すずみたいな美人だったらぐうの音も出ないですね。
この子は本当に、ちょっとこういう影のあるような役が凄くはまると思いますよ。
ひたすらに美しい映像でした。
映像の美しさはお墨付き。だって岩井監督だもの。
演技の上手い下手は置いておいて、庵野さんの仕事に没頭していてあまり家庭的ではなさそうなのに、妻の浮気を疑ってやきもちをやくシーンは、何か微笑ましくて良かったです。
どんなに優秀で、美人で完璧な女性でも、選ぶ相手の男によって、その後の人生がガラっと変わってしまうんですよね。
破滅に向かってしまった姉と、なんだかんだとそこそこ幸せそうな妹との対比がまた、ある意味残酷でした。
予告編で流れているこの主題歌、森七菜が歌っているとは。
Mステで見た時は、歌詞(岩井監督の)とかプロデューサーの小林武史に「歌わされてる」感を感じてしまったけれど、何度も聞いていると癖になる声です。
天気の子の声も良かったですもんね。一度聞いてみてください。
個人的な評価としては、5段階中3.5点。
TVで放送したらまた見たいかな、というくらいにはもう一度見たい映像美。