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告白

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とある中学校の1年B組、終業式後の雑然としたホームルームで、教壇に立つ担任の森口悠子(松たか子)が静かに語り出す。「わたしの娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではなくこのクラスの生徒に殺されたのです」教室内は一瞬にして静まりかえり、この衝撃的な告白から物語は始まっていく……。

監督:中島哲也
原作:湊かなえ「告白」

R-15指定映画の意味を、映像で見てみて理解しました。
 
原作は発売から大層話題になっていた、湊かなえさんの「告白」。
話題は途切れることなく、本屋大賞1位、映画化、そして待望の文庫化とどんどん知名度は上がっています。
 
初めて読んでから大分経ちますが、あの後味の悪さ「嫌ぁな感じ」は未だに忘れられません。
それくらいに強烈で、読後感の悪さを残してくれる原作だったのです。
 
本屋大賞に決まった時、「この流れでは映画化もあるんだろうな。でも、この原作をどう映像化するんだろう」と期待していない自分がいました。
 
告白というタイトルからも分かるように、一人の教師の告白から始まる物語は、語り手・視点を変えて事件の真相に迫って行く内容です。
なので、これをただ淡々と映像化しただけでは見ている側は飽きるし、スピード感が全くなくてきっと飽きてしまうだろう。
 
どうせ微妙なんだろう?
と思っていたのですが、あの女優泣かせの異名を取る中島哲也監督が担当すると聞き、興味を持ったのでした。
 
全く笑う事無い無表情の教師の森口を演じる松たか子ははまり役です。
大事な一人娘を失った悲しみ、絶望、そして犯人への怒りの大きさをひしひしと感じます。
 
教師が犯人の生徒に復讐をするというショッキングな内容ですが、あんな理不尽に大事な娘を殺されたとしたら・・・・・・親だったら復讐してやりたいと思う気持ちは理解できなくもないと思ってしまうのです。ただそれが、一般の人間ではなく、教師だったまでのこと。
 
巧妙で、残忍で、執念深い森口の復讐劇。
 
最後の最後――ようやく犯人の生徒が、大切なものを失う絶望や悲しみを理解したのでは?と思います。

前半はほとんど森口が一人で語るだけの内容です。
しかし飽きさせることなく見る事ができるのは、中島監督の技量があったからこそ。
 
悪意のない、何も知らない今時の中学生。
携帯の文字が飛び交い、死にたいと思う人間や、誰かを苛めて弱い者より上に立つことで優位に立とうとする生徒達。
 
ところどころに入るそれらの悪意のないはずの映像は、今時の中学生の怖さを突き付けられるようでした。
 
差出人不明のメールが届き、殺人者にペナルティを与えるゲームが進行し、生徒を大っぴらに苛める事が普通になっている。
誰が悪くて、誰が悪くないのか。
その境界線も曖昧になっていく。
 
鮮やかな映像、スピード感と立体感溢れる場面の数々。
残酷な描写。容赦ない森口の復讐――
 
中島監督、凄すぎます。
これは見る価値ありの映画です。
 
後味の悪ささえ我慢できれば、絶対見るべきです。
 
 
それにしても、岡田君が先生役なんてまだ若いのに・・・と思っていたのですが、ウェルテルの熱血過ぎて外してる感じのウザさ、最高にはまってました。
こんな先生いたら絶対無理だわ。
 
それにしても、今の時代の中学生って・・・・怖いっすね。
今中学生だったら、絶対登校拒否してた気がしますよ。
 
残酷な事をしてるのに、当の中学生がまだ成長途中の声変わりもしていない子供という事実が、何より一番怖かった気がします。そういった意味でも凄い映画でした。