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ソロモンの偽証 前編・事件

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クリスマスの朝、雪に覆われた中学校の校庭で柏木卓也という14歳の生徒が転落死してしまう。彼の死によって校内にただならぬ緊張感が漂う中、転落死の現場を目にしたという者からの告発状が放たれたことによってマスコミの報道もヒートアップ。さらに、何者かの手による殺人計画の存在がささやかれ、実際に犠牲者が続出してしまう。事件を食い止めようともせず、生徒たちをも守ろうとしない教師たちを見限り、一人の女子生徒が立ち上がる。彼女は学校内裁判を開廷し、真実を暴き出そうとするが……。

監督:成島出
原作:宮部みゆき「ソロモンの偽証」

実はとても期待していました。
 
中学生が裁判をする、という突拍子もない原作です。
ハードカバー版で全3巻。あの分厚い本を読み終えた時の衝撃。
これが映画化するのか、という期待。
しかも、中学生達はかなり厳しいオーディションで選んだ無名の新人ばかり!(知っているのはまえだまえだの前田航基くらいだった)
 
期待しない訳にはいきません。
しかも脇を固めるのも演技派の俳優さんばかり。
 
しかし前後篇・・・
ここ最近の映画は前後篇になっているのものが多い気がしますが、一話完結の映画が普通と思っている自分にはわざわざ何故二回に分けるんだろう・・・と思ってしまうのも事実。
 
この映画も確かにあの原作の分厚さを一つの映画にまとめるのは難しいだろうけれど、前後篇か・・・とちょっと重いなあと思っていたのです。
 
しかし・・・
結果、これは前後篇にして良かったと思いました。
 
全編のサブタイトルが「事件」。
 
まさに一人の男子生徒が亡くなった事件について、「他殺」なのか「自殺」なのかを追い求めていくプロローグにふさわしい前篇でした。
 
2時間を越える映画でしたが、不穏な事件や結構容赦ない暴力描写やおどろおどろしい展開はえげつない感じで、観る者の目を離しません。
また、原作を読んでいる私でも満足するほど忠実なキャスト。
主演の藤野涼子さんをはじめ、演技は下手でも原作の登場人物に限りなく近い人選をしているのが分かるのも良いです。
 
特に、柏木卓也役の子、三宅樹理役の子、松子役の子が印象的ですね。あとマリ子役の子はぱっと目を惹きます。
 
特に三宅樹理は原作でもそうとういっちゃってる感じですが、これを映像化するとこうなるのか・・・という。
この子、ちゃんとニキビ面になっているけど、ニキビがなくなったらきつめの美人系の顔立ちをしているというのもいい。またこの事件の核になっている人物でもあり、この人選は間違いないなと思いました。
 
松子役の子がまた原作通りのぽっちゃりした子で、しかもめちゃくちゃいい子なだけに、切なかったですね。
お父さん(塚地)とお母さんと松子の団らんが、またとても良いシーンでした。
 
脇の俳優陣。
特に印象的なのは小日向さんと永作さんでしょうか。
小日向さんは生徒を救えなかったという無念の校長役が凄くピッタリとはまっていました。
また、三宅樹理といういっちゃっている娘をもつ母親役の永作さんもかなりぶっ飛んでる感じで凄いインパクトがありましたね。
ラストもこの親子のシーンで前篇が幕を閉じ、続きが気になる感じでした。

原作を読んだ時は、中学生なんてまだ子供なのに、裁判なんて難しいことができるの?
全然イメージわかないわ、と思いつつ小説の中の話ということでなかなか楽しんでいたのですが、映像化してみて意外としっくりきていることに驚きました。
 
これは監督の力量と、有名どころの俳優を使わなかった選択(実力・原作に忠実な人物重視)と、脇を固める俳優陣の素晴らしさにあると思います。
 
予想を上回る良作で、大満足の前篇でした。
 
後篇は来月ということで、早く続きが観たいと思います。
でもやっぱり気になって仕方ないので、前後篇になっている映画って嫌だなあと思ったりもしますね(笑)
 
映画のテーマ自体がかなり重いので、気楽に見ようという感じではありませんが、後篇が始まる前にぜひ前篇を見てほしいです。
個人的には久々にヒットかも。
(4.5点)