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スキュラ&カリュブディス: 死の口吻

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初夏。街では連続変死事件が起きていた。まるで狼に喰い千切られたような遺体。流通する麻薬。恍惚の表情で死んでいく少女たち。自らも死を求める高校生・此花ねむりは鈴原楓との出会いをきっかけに事件を調べ始める。だが、そこには3年前の殺人事件に繋がる驚愕の真実が隠されていた―。性と死、その果てに垣間見える少女の戦い。逸脱者たちが繰り広げる戦慄の新伝奇譚。

相沢沙呼さんの本です。
 
新刊なのに文庫で発売というのが手に取りやすくて良いですね。
 
酉乃シリーズ、マツリカシリーズなどの太もも描写(絶対に中が見えないスカート描写)、ココロ・ファインダなどの女の子同士の面倒で複雑な関係性を男性作家とは思えないほど繊細に描く作家。
 
「学園モノ」や「日常ミステリ」としての相沢さんしか知らないので、これは今までにない意欲作だなと思います。
 
「百合」「エログロ」「異端の人間」「探偵」「美少女」がキーワードとしてあげられるでしょうか。
 
とにかく清原紘さんのイラストとキャラクター達が見事にマッチしていて、章毎に書かれている登場人物のイラストも世界を彩ります。
 
今までが見えるか見えないかのギリギリラインで攻めているものだとするなら、今回はそれを超越した直接的な表現が多いです。
一瞬官能小説か!と思うようなギリギリな描写もありますし(笑)。
それがまた女の子同士だったりするから余計ドキドキしてしまいます。
 
まあそれはそれより、死者の描写がかなりグロイですし、血なまぐさい事件が起こる訳です。
相沢さんが今まで書いてきた小説でここまでのものって今まで本当になかったですよね。
 
思っているよりもすんなりと受け止められて、それどころか不思議な魅力に惹きつけられてページをめくる手が止まりませんでした。
 
ねむりという西洋人形のような美少女が抱える闇とは?
 
頻発する怪死事件の真相、犯人は?
 
普通の人間ではない「異端者」達。それを追う探偵。
事件の犯人にはえ!と予想していなかった人間でしたが、なかなか読ませてくれる作品でした。
 
ただちょっと探偵さんの意味があまり感じられなかったかなと。
もっと絡んでくるかと思ったらあっさりと引いてしまった感じがあったかなあ。
 
ねむりと楓の友情は危ういラインであったとしてもゆっくりと続いていくのでしょうか。
ちょっとばかし切ない二人の関係も良かったです。
 
そしてイラストが本当に綺麗なのでぜひ手にとって欲しいです。
小説の世界と見事にマッチしておりますよ。
 
相沢さんの新境地。人によっては苦手な人もいるかと思いますが、私は結構ありだと思います。
(4点)