子どもを身ごもるも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかない希和子は、ちょうど同じころに生まれた男の妻の赤ん坊を誘拐して逃亡する。しかし、二人の母娘としての幸せな暮らしは4年で終わる。さらに数年後、本当の両親にわだかまりを感じながら成長した恵理菜は大学生になり、家庭を持つ男の子どもを妊娠してしまう――
監督：成島出
原作：角田光代「八日目の蝉」
この映画が公開された時にはまだ原作を読んでいなくて、だけど気になるので観に行こうかなあと思いつつ、機会を逃してしまって観ていませんでした。
この前地上波で放送した時に見逃して嘆いていたら、職場の上司がDVDに焼いてくれ、ようやく観る事ができました。
原作は、決して幸せな話ではなかったけれども、ぐいぐい引き込まれました。
希和子サイドで描かれる原作、本当の母親ではないのに、何故か恵梨菜の実の母親よりも愛情を感じるのは何故なのか？
希和子を演じる永作さんと、千草を演じる小池栄子がとにかく秀逸。あと、薫（恵梨菜）の子役時代を演じた女の子。子供が実の親と信じて疑わなかった相手は他人で、だけど本当の親を親と思えないために距離感が生まれてしまっていること、上手すぎて何だか苦しいほどでした。
実の母親役の森口さん、最近の若々しいイメージ（インディゴの夜シリーズのイメージが強い）しかなかったので、鬼気迫る演技が凄かったです。
恵梨菜もそうだけど、「自分は悪くない」はずなのに、不幸になっているという点では、母親も被害者なのかな。
夫に浮気された原因があったのかも分からないけど、多分それは妻の責任はあまりない気がするし、我が子を奪われて無事に帰ってきても、実の母親と思ってもらえない苦しさ。
精一杯努力しようにも、赤ん坊～幼児時代の恵梨菜の記憶の中では、母親は希和子でしかありえないのだから・・・。
井上真央ちゃんは演技は上手いのだけど、どうしても悲壮感が出ないような。
キッズウォーの頃から上手いなあと思っていたけど、明るい役が多いからかなあ。不幸な女の子の役はちょっと合わなかったかも。
劇団ひとりは違和感しかなかったです(笑)
原作を読んでから見ても、あまり違和感がなく観る事ができました。
映像化したものを見ると、苦しさは二倍増しでしたが。。
血の繋がりって何だろう、愛情って何なのだろう・・・と色々な事を考えさせられました。
（4点）
