No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

ヴァンパイア

イメージ 1
 
「死ぬなら君の血をくれないか」
「僕はヴァンパイアなんだよ」
学校では自殺を考える生徒を説得する誠実な教師を演じながら、プライベートでは自殺サイトに接触し、若い女性の自殺を幇助する代わりに、血を飲ませてもらっていたサイモン。自殺志願者の間では有名な存在で恐れられているが、せっかく飲んだ血は吐いてしまうし、他の殺人犯が女性を狩る姿を見てパニックになる、気の弱い男でもある。ある日、血を抜かれた若い女性の遺体が相次いで発見された。“ヴァンパイア"と呼ばれる連続殺人犯が世を賑わす中、サイモンは、新たな女性との出会いを求めようとする……。


岩井俊二さんの本です。
 
映画版のヴァンパイアを見た後に読んだので、映画ではあまり描かれていなかったサイモンの内面的な心情や母親との関係、現在のサイモンを形成する過去が描かれていて、ようやく理解できたような気持ちです。
 
手記という形で過去を振り返っているので、映画版より無機質で達観的に物事を捉えているサイモンの印象。
映画版ではもうちょっと人間くさい(ヴァンパイアだけど)サイモンがいて、そのギャップも新鮮でした。
 
日本人留学生のミナ役は蒼井優だったのですが、小説を読んでやはり蒼井優のイメージだなあと思いました。
 
※ここから少々ネタバレあり※
 
サイモンが心を通わせたベルが、小説の中では精神を病んで自身をヴァンパイアと思いこむラストにはちょっと悲しくなりました。
映画版ではそのあたりは書かれていなかったので・・・。
 
それにしても、男性特有の自慰描写などが結構私は苦手なので、近著の岩井作品(小説)はちょっと読んでいて辛いかも。
(4点)