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ユリゴコロ

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亮介が実家で偶然見つけた「ユリゴコロ」と名付けられたノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。創作なのか、あるいは事実に基づく手記なのか。そして書いたのは誰なのか。謎のノートは亮介の人生を一変させる驚愕の事実を孕んでいた。圧倒的な筆力に身も心も絡めとられてしまう究極の恋愛ミステリー!


沼田まほかるさんの本です。
 
図書館の予約件数=人気度
ではないけれど、間違いなく言えるのは注目度が高いということ。
 
そうなんです。
何やらいつの間にか、本屋で沼田さんのデビュー作「九月が永遠に続けば」が推されているではないですか!
そんな中で、あー沼田さんの新刊が出たんだなーと悠々と構えていたら、予約件数が凄い事になっていた。
 
なんだなんだ?何かで紹介されたのか?と思いつつ、地元の図書館にはやっぱり誰にも借りられずに置いてあったのでした。
私はもう、少し前から沼田さんは凄い作家だと知っていたんだけどね?
デビュー作の衝撃は何とも言えないですよ。だからこそ、やっと世間が沼田さんに追いついたなあと、そんな上から目線で思いながら、ちょっと寂しかったりもします(笑)
 
当初から文章力の高さ、読みやすさは評価されていた作家さんでしたけども・・・何と読みやすいんでしょう!
そしてもう、冒頭から一気に惹きつけられて、最後まで一気読みしてしまった(今日中に読み終えないと気になって眠れん!っていうくらいに)のであります。


伊坂幸太郎さんが描く男性主人公、に似た感覚で、凄く好感が持てたのも大きかったと思います。
そして、抜群の文章力の巧みさに、ミステリ展開、のっかけら不安を煽る何とも言えない気分にさせる嫌な感じは、湊かなえさんにも通じるかもしれません。
(文章や物語性を比べたら、間違いなく沼田さんが上だと思いますが)
 
あとは、ちょっと突き離したような淡々とした語り口調は、乾ルカさんとか永嶋恵美さんとかが好きな人はきっと気に入ると思います。


主人公の男性に突如降りかかる不幸の連続。
父の病気発覚、母の事故死、恋人の失踪――
そしてある日見つけた父の部屋にあった、意味深な手記。
そこに記された話は、創作か、果たして事実なのか・・・
 
そして明かされていく自身の知らなかった真実と、家族が抱えていた秘密――
 
 
恋人の失踪と、手記から辿る過去の真相がついぞ出会った時、オチは読めてしまいましたが、それでも十分に魅力的な展開でした。
ユリゴコロとは一体何なのか?それは読んでからのお楽しみ。
 
手記から辿る母の姿しか知らないと、ラストのどんでん返しにはたどり着けないかも?
 
珍しくこの私がラストのどんでん返しに気付いてしまったのでちょっと残念でしたが、家族小説・恋愛小説・ミステリ+ちょっとホラーな話が一気に楽しめる作品です。
 
とてつもなく不穏な空気が漂っていても、ラストは何だかいやに晴れやかな気分で読み終えている自分にびっくりです。
 
沼田さん、久々に読みましたけど・・・この作品はとても良かったです!
今後も期待大の作家さんです。