No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

痺れる

イメージ 1
 
汚れた身体を抱きしめてくれた悪魔に囚われていく私。怒りと赦しを背負いながら生きていく使用人の哀しみ。姿の見えない彼の妻に翻弄される不倫女の叫び。―暗い水底に引きずり込まれていくような9つの哀しみと絶望。


沼田まほかるさんの本です。
 
最新刊?なのかな。
この本を読んだので、沼田さんの既刊作品を全て読み終えたようです。
 
あーなんていうか、暗い。
というか、おどろおどろしい?なんだろう、ドロドロしているというか、ねっとりしているというか、陰鬱になるというか。
なのに、その暗さが心地良いと感じるのは何でなのだろう。
 
短編集なのですが、テーマが虫とか色々とダークな感じです。
 
相変わらずの筆力にはもう脱帽です。
とにかく文章が上手いので、いつの間にかこのおどろおどろしい世界に引きずり込まれている。
 
オチが良く分からないものもあったのですが、冒頭から続く不穏な空気とは裏腹に、ラストでは案外すっきりしているという感覚が不思議です。
決してハッピーエンドという訳ではないのに、不思議だ。
 
個人的に今後も密かに注目して行きたい作家さん。
本当に文章が上手いです。
 
このダークさは湊かなえさんにも匹敵するかもしれませんが、断然沼田さんの方が文章は上手いです。
もっと注目されても良い作家さんだと思うんだけどなあ。