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窓口職員奮闘記 苦情こそ我が人生

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今日も怒号が飛び交う市役所窓口…。神奈川県内の市役所に就職し、37年間の大半を、住民と身近に接する窓口業務に携わった著者が、市役所職員の奮闘ぶりをペーソスたっぷりに描きあげた本邦初のお役所小説。


関名ひろいさんの本です。
 
コールセンターの仕事をしていると、一日に一件くらいの頻度で、必ず苦情というやつを受けなければいけない。
これが今まで、対企業向けで電話応対をしてきた私にとってはとてつもない苦痛なのです。
 
酷い時には、朝一で受けた電話に始まり数件連続で全て苦情という日もあります。
 
熱くなったお客様は平気で20分、30分は怒り続けている。
怒っている当人も疲れると思うが、尤もだと思っても頷くに頷けない苦情。
聞いている側としてもはい、はいと相槌を打つしかなく、「申し訳ございませんでした」と謝れば「謝って済むもんじゃないんだよ!」だの「あんたに謝られても困る!上の者を出せ!」「あんたもこれで給料もらってるんだろ!」だのとにかく罵倒と苦言の嵐なのです。
 
そんな日々が続くと、仕事に対する自信も失われる。
時には苛々が募りにっちもさっちもいかなくなることもあるのです。
 
疲弊した日々に、図書館に通う度にずっと心惹かれていたタイトルでした。
 
公務員の窓口業務と、一般企業のコールセンターでは苦情の内容も大分異なってくるかとは思うが、それでも明らかに強迫とも思える脅しの言葉を投げかけてきたり、明らかに理不尽と思える苦情を受けて対処しなければいけないところは変わりませんでした。
 
ただ、お役所仕事ってどうしても融通が利かなくて、手続きが分かりにくくて煩雑で・・・職員側の気持ちも分かるけど、何となくお客様側の視点に立って見てしまう部分が多かったです。
 
なのであまり共感はしなかったかな。
 
巻末にフィクションと書いてあってガッカリしたけど、流石に実話をそのまま載せると色々と問題があるということで、ほぼノンフィクションを元にした物語の一つとして読んで差し支えないかと思われます。
 
それにしても、結婚、出産、出生、戸籍、離婚、養子縁組――人生の様々な手続きを行うお役所。
こんな仕組みになっていたんだ!と目からうろこの話も多く、なかなか興味深かったです。
 
ただ、文章は読みやすいのですが、構成があまり上手くなかったような。
小見出しが割とバラバラに、書きたいように書いている感じなので、各章に分けてまとめてくれたりする配慮があったらもっと読みやすかったかも、とは思います。