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異邦の騎士 ―改訂完全版―

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失われた過去の記憶が浮かび上がるにつれ、男はその断片的“事実”に戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺した男なのか?そしていま若い女との幸せな生活にしのび寄る新たな魔手。記憶喪失の男を翻弄する怪事の背景は?蟻地獄にも似た罠から男は逃げられるか?希代の名探偵・御手洗潔の最初の事件。


島田荘司さんの本です。
 
発表の順番としては、御手洗シリーズを発表してから大分時間が経過してからだったようですが、島田さんが本格的に小説の執筆をした初めての作品なのだそうです。
 
今回は改定完全版ということで文章の修正を大幅に行ってはいるらしいのですが、話の大本は変わっていないということで。
 
もうね、冒頭読み始めた時点から別格でした。
 
御手洗シリーズ、今まで何作か読んできましたけど・・・・今まで読んだ中で一番好きな作品になりました。
 
これはもう、ユーザーレビューとか読まないで全くの予備知識なしで読んで欲しい。
物語のどんでん返しより、この男の正体が分かった時の衝撃と、全てが繋がった感覚は・・・多分最初にネタバレしていたら感じられないことだと思うから。
 
ミステリ作品としてはちょっと違うのかもしれない。
だけど人を愛する事の苦しさ、記憶を失って右も左も分からない孤独、頼れる存在がいるという事の大きさ――
 
そういう別の意味でも楽しめる作品。
やっぱり御手洗が好きな私は、彼が登場するとニヤリとしてしまいましたけれど、御手洗シリーズの「占星術殺人事件」がストーリ1とするならば、いわば始まりのストーリー0という位置づけでしょうか。
 
なかなか分厚かったですが、冒頭からラストまで一気に読めました。
こんなにがっちりと読者の心をわしづかみにしてくれて、とにかく島田さんの筆力には脱帽。
 
大・大・大満足の一冊でした。
 
あー面白かった!