日本ミステリー界を牽引してきた８人の作家の豪華競演。御手洗潔、江神など、人気のおなじみの主人公から、気鋭の新たな代表作まで、謎も読み口も全く異なる八篇を収録。すべて読み切り、どの事件から解くのもよし。極上のトリックに酔いしれる、ミステリーファンに捧ぐ、文庫史上もっとも豪華なアンソロジー。
島田さん目当てで借りてみました。
しかし読み始めたら、一度読んだ事のある話でした。
久々の御手洗シリーズ、と思ったら、既に単行本に収録されていたものを読んでいましたね。
しかし、二度目をものともせず、一番惹きこまれて物語の世界に酔いしれる事ができた作品が島田さんでした。
やっぱり凄い。
この話の中では、御手洗がとても優しい表情を見せます。
島田さんは本当に上手いな。気付いたら物語の情景が浮かんでいて、頭の中は彼岸花の風景で一杯になっていました。
この本自体、ミステリファンの中ではあまり評価が高くないようですが、個人的には割に楽しめたかなあと言う印象です。
米澤さんの作品は今回は自分の好みに合っていて読みやすかったですが、いかんせんパターン化し過ぎている典型的な展開になってしまい、予想できてしまったのだけは残念。ただ、人物がとても魅力的で良かったです。
我孫子さんにはすっかり騙されて思わず数ページ前に戻って読みなおしてしまいましたし、北川さんの話も意表をつく展開でした。長江さんの作品も脚本を手掛けている方だけあって映画を見ているような臨場感があり面白かったです。
ただ、麻耶さんの話はオチが分からず、有栖川さんは読みやすいですが自分の好みではなく、竹本さんの話も読み終えてもいまいちしっくりこないところがありました。
それでもまあ、総合的に見て、「ミステリ」とくくると首をかしげてしまうものもあったのですが、なかなか楽しめたので良しとしましょう。
（4点）
