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寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁 吉敷竹史シリーズ①

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双眼鏡で覗きをしていた男が、豪華マンションの浴室で顔の皮をはがされた若い女の死体を発見!だが、割り出された死亡推定時刻に彼女は、「はやぶさ」に乗っていた。不可能を可能にしたトリツクは何か?時間の壁と“完全犯罪”に敢然と挑む捜査一課の吉敷竹史の前に、第二、第三の殺人が…。


島田荘司さんの本です。
 
どちらかというと、有名どころよりマイナー系。あまり知られていないものを好む私。
それは音楽や映画でもそうだけど、本にも当てはまる。
 
という訳で、割と最近の作家の本ばかり読んでいると、唐突に「本格ミステリ」の巨匠である島田荘司さんの作品を読みたくなったりする。
 
御手洗潔シリーズですっかり虜になり、御手洗シリーズは読めるものは大体読んだと思います(サイド的なものは読めてませんが・・・)。
ということで、ずっと気になりつつ手を出していなかったこの吉敷竹史シリーズをとうとう手にしてみることにしました。
 
御手洗が天才・奇人型の探偵なので、その奇抜なところも含めて私は好きなのですが、御手洗シリーズに出てくる警察は警察嫌いな御手洗からの視点も含めて、何処か居丈高で不遜な態度、その割に無能な印象が強いです。
そんな島田さんが探偵役に刑事を持ってきたらどうなるか。
 
もう、何の心配もなく楽しめました。
時刻表が出てきたり、トラベルミステリーはいまいち理解できずに終わってしまい苦手でしたが、これは時刻表も出てこないですし、理解しやすかったです。
 
顔のない死体、被害者の顔、複雑な家庭環境、犯人、そして真犯人――
 
天才的に事件を解決してしまう御手洗とは違い、一つ一つの事件の断片から、熟考を重ねて少しずつ真相に近づいていく吉敷刑事。
だからこそ、とても人間らしく好ましく思えました。
 
「龍臥亭~」の作品に登場してきた時、確か結婚されていたと思うのですが、この時点ではまだ独身。
シリーズが進むにつれてそういった話も出てくるのでしょうか?
ぜひ続けてシリーズを読みたいですね。
 
微妙に作品間でリンクした登場人物も出ているようで、既読作品なのに思い出せないのがとても悔しい!
また色々と再読もしたくなってきました。
 
ちなみにこの作品が刊行されたのは、1984年2月。
なんと、私が生まれた年月でした。自分が0歳の時にこのような作品が生まれていたとは・・・!と思うと感慨深いです。
 
今の時点でも御手洗VS吉敷という作品はないのかなあ。
解説の綾辻行人さんと同意見で、やっぱり期待してしまいますね。
(4点)