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切れない糸

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周囲が新しい門出に沸く春、思いがけず家業のクリーニング店を継ぐことになった大学卒業間近の新井和也。不慣れな集荷作業で預かった衣類から、数々の謎が生まれていく。同じ商店街の喫茶店・ロッキーで働く沢田直之、アイロン職人・シゲさんなど周囲の人に助けられながら失敗を重ねつつ成長していく和也。商店街の四季と共に、人々の温かさを爽やかに描く、青春ミステリの決定版。


坂木司さんの本です。
 
「引きこもり探偵」シリーズの坂木と鳥井より、健全で安心して読めるなあと思った作品。
 
特に主人公の和也の成長物語としても読む事ができるのと、何処にでもいる若い男の子、という感じがとても好ましい。
クリーニング店での慣れない仕事、少しずつ慣れて行き、仕事に対する気持ちがどんどん変化していくのもリアリティがあって良かったです。
 
個性的な従業員、商店街の人々の温かさ。
昨今忘れがちな人と人との結びつきを少しうらやましくも疎ましくも感じたりする。
 
クリーニング店は、持ち込まれる服だけでその家庭にどういう人が住んでいて、どういう生活を送っている――というのを推測できてしまうこと。ただの服、されど服。
生活や金銭力や、その人の体験や性別、年齢なども推測できてしまう。
考えてもみなかったけど、無防備にさらけ出していたのかなあ、なんて。
 
そういえば、私もクリーニングのビニールを外していない服が結構あるぞ・・・・・・と気付きました。
 
あと、沢田が和也に拾われたクチ、であることがいまいち理解できないのですが・・・・・・続編、今時点でもないんですかね?
シリーズ化してほしいものです。
(4点)