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はとの神様

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転校してきたばかりの小学5年生のみなとは、学校になじめず、家では病的に潔癖症の継母につらくあたられる日々を過ごしていた。ある日の放課後、街中で会ったのは同級生の悟。悟は妙に大人びて、いろんなことを知っているクラスの物知り博士だった。ふたりは、偶然つかまえた迷子のレース鳩を、飼い主のもとに届けに行き、そこでオランダ人の父を持つ美しい少女・ユリカに出会う。ユリカはふたりに「この街が大嫌いなの」と打ち明け…。


関口尚さんの本です。


なんだろう、小学生編を読んでいる時のこの息苦しさは…

親のせいで転校を繰り返すみなとと、離婚して父と二人で暮らす悟。

クラスに馴染めないはみ出しものの二人を繋いだのは、鳩。

鳩と行っても、レース鳩のこと。
長距離を飛ばし、自宅まで無事帰還するまでの早さ、順位を競う。


鳩には興味がないので、どうしようと思い読んでいましたが、その合間合間に見せる人間模様が痛すぎて、なんだか胸が苦しくなりました。
小学生の頃って、世界が狭いですよね。
家庭と学校と。
その狭い世界にある家庭や学校で絶望すると、途端に居場所がなくなるようなあの感じは…
大人になったら消え行くものなのに、幼さ故にそれを知らぬままもがいたり、突っ張ったり…
思うに、幼い頃の人格形成には、少なからず家庭の問題が影響します。
みなとは血の繋がらない母親に疎まれて身を縮めながら生活をしていて、悟は離婚して出て行った母のことをわだかまりを持ったままで…
普通じゃない環境にあるからこそ、周りに馴染めなくて浮き上がってしまうんですかね。。

そんな救いの見えない環境でも、大人編では鳩が二人を救ってくれているのが分かり、ほっとしました。

鳩の神様は、いるんでしょうかね?
大人になると、神様なんていないと実感することが多くなり現実を見てしまいますが、それでも祈ってしまう時って、やっぱりあります。
 
神様に祈ることで起こるかもしれない奇跡を無邪気に信じられた時代は終わっても、時々神様に祈ってしまうような、そんな心は捨てたくないなあと・・・何だかそんなことを思った作品でした。