わたしとトムおじさん

帆奈、１３歳。両親の別居でＮＹから単身帰国中。日本の学校に馴染めない帰国子女。斗六、２８歳。高校時代のある事件が原因で外に出られなくなった、本当はイケメン。叔父と姪、それぞれの「問題」を抱えた二人は一緒に暮らすことになる。帆奈はおじさんを立派な大人にするために、恋をさせようと奔走するが…。

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小路幸也さんの本です。

小路さんの本を読むと、「あー帰ってきた」という気分になります。

今回の話は、何処か東京バンドワゴンを彷彿とさせる温かい雰囲気に溢れたものでした。
読んだあと、「ほっこり」とした温かさに包まれるのも、やっぱり小路さんだからこそ！

帆奈は、ニューヨークに住む両親と離れて、おじいちゃんとおばあちゃんと、トムおじさんと一緒に暮らしている。

広い森林公園の中に造られた明治たてもの村。
そこには、明治・大正・昭和の古い家や洋館・工場・学校が全国から移築されて一般の人も見学することが出来る施設がある。

明治・大正エリア、昭和エリアに分かれた村の中には、昔の電車や馬車が走っていたり、建物や設備が古い時代のままの姿で営業している。

帆奈も、大正・昭和時代の女学生の袴姿になったり、明治時代の貴族のお嬢様の格好をしたりして、観光客を案内したりというボランティアをしている。

高校のときに引きこもりになり、人と話す事がとても苦手なトムおじさんを、帆奈は何処か自分がしっかりしてトムおじさんを変えないと！と思っている節がある。

けれど、ラストに向かうにつれ、トムおじさんの意外な真の強さに気付かされる場面が、とても良かったです。

タイトルや装丁からして、「足ながおじさん」のイメージを抱いていたのですが、トムおじさんは叔父さんなのであって、私と大して年が変わらない28歳なのでした！

でも、トムという名前の由来がまた良い味出してました。

温かい気持ちになれる一冊です。