No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

at Home

イメージ 1
 
そこは人がほんとうに帰るべき場所なのだろうか?ふぞろいで歪つな4つの家族とそこに生きる人々。涙と冷酷と波乱を存分にたたえたエンタテインメント小説。


本多孝好さんの最新刊。
 
「Story Seller」のVOL.1に収録された作品をまとめたものを出す予定、と何処かで読んだ気がしたので、今回はその作品なのかな?と思っていたら、VOL.2の「日曜日のヤドカリ」が収録された家族をテーマにした短編集でした。
 
初期の本多さんの作品は、短編集が多かったですよね。
長編よりも、短編の方が昔の作品は好きなんですが、今回は久々の短編。
 
表題作の「at Home」が良かったですね。
コミカルな会話に明るい話を想像していたら、明かされていく真相に驚かされ、ラストで胸が熱くなる。
コミカル展開にも十分通用する設定だったけれど、意外な「家族」の形に胸を撃たれました。


親が離婚しているから、その子供も離婚して幸せな家族生活を送れない。
親に虐待された子供は、自分の子供にも同じ虐待をする。
 
・・・・・・なんて、親がダメだから、親を見てきた子供だから悪影響を受けるというイメージは浸透していると思います。
でも実際、親が離婚した家庭に育った私は、何処かで結婚というものに対して、不信感がある。
きっと自分も幸せにはなれないだろう、と何処かで思っている。
 
この物語に出てくる4つの「家族」は、それぞれ家庭が上手くいかなかったりぎくしゃくしたり、問題を抱えている。
だけどどの話もラストで光が見えてくるから、安心して読む事ができた気がします。
 
レビューは厳しい評価の人が多いようでしたが、個人的にはこんな家族小説は嫌いではないし、むしろ私には丁度良いと思えました。
 
本多さん、やっぱり好きだなあ。