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おれのおばさん

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ある日突然、父親が逮捕! 東京の進学校から一転、変わり者の実のおばさん率いる札幌の児童養護施設の居候となった14歳の陽介。さまざまな出会いに彼は・・・。時代の閉塞感を突き破る、痛快青春ストーリー!


佐川光晴さんの本です。
 
佐川さん、何となく印象に残っている感じがしたのは、以前読んだ事があったからだったのだなあ。
「ぼくたちは大人になる」を読んだ時、初めて読んだのに何処か懐かしくて温かみのある文章にすっかり魅了され、もう一度読みたい作品という位置づけにあったのですが・・・
 
本作も冒頭からがっしりと心をわし掴みされていました。
何だろう。
これは完全なる好みなんだと思うけど、佐川さんの文章、もう冒頭の一文から惹きつけられてしまったんです。
 
主人公の中学生の男の子の子供でもない大人でもない微妙な年頃なのに、不遇な環境に身を置く事になってしまったせいか、何処か達観したような感じも、全然嫌味がない。
むしろ主人公を始め、登場人物の誰もが憎めなくて、愛らしいとさえ思える。
 
両親が存命していても、様々な理由で育児放棄をされたり、離れ離れになって暮らさなければいけない事情のある子供。
死別や、生まれてすぐに親元から離され、親の顔さえ知らない子供。
 
一体どういう生き方や境遇を持てたら、本当に幸せな子供になれるんだろう。
親を選べない子供達の葛藤や努力。
そういった意味でもこの「おばさん」は凄い人だなあとしみじみと思うのです。
 
タイトルで「え?!」って思った人も、ぜひとも読んで欲しいです。
 
やっぱり佐川さん、良いです!