No-music.No-life

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ネジ式ザゼツキー

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記憶の一部をなくした男が書いた奇妙な童話『タンジール蜜柑共和国への帰還』。
蜜柑の樹の上にある村、ネジ式の関節を持つ妖精、人工筋肉で羽ばたく飛行機――。
そして彼の肩甲骨には翼のなごりがあった!
妄想としか思えない男の話から、御手洗潔が導きだした真相とは何か――!?
驚愕の結末が待つ本格ミステリー!


島田荘司さんの御手洗シリーズ。
 
本作は御手洗が語り手になっていたり、御手洗が最初から最後まで登場しているのでファンには嬉しい一冊になっています。
 
海外で脳の研究をしている教授という現在の御手洗の姿を描きつつ、患者として対峙した男の奇妙な童話から、男の失われた過去が解き明かされていく――
 
斬新だと思うのが、横書きと縦書きが入り乱れた作品だということ。
 
横書きの文章って、普通は左開きになっているけど、縦書きと同じように右開きで右から左に読んで行かなくてはいけないので、最初それが慣れなくてどうしても読みづらさを感じて仕方ありませんでした。
 
個人的には御手洗がずっと登場しているのは嬉しいんだけど、あくまで海外にいるという設定なので「ミタライ」という記述しか出てこないのが個人的には残念。
やっぱり「御手洗」と、そして石岡君目線から見た御手洗が好きな私としては、何だかこの作品は長くて読むのに苦労した割にはあまり楽しめなかったような気もします。
 
 
それにしても、全くの空想の童話としか思えなかったものから、男の失っていた過去を、推理と持ち前の頭脳で読み取ってしまう御手洗は、凄すぎます。
楽器演奏もプロ級だし、外国語も複数話せて、海外で教授をやっていて・・・・
 
作品が出る度に設定が追加されていっていますが、こんな人間がいたらやっぱりもてない訳はないですよね。
 
まだまだ読みきれていない他の作品も読みたいと思います!