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銀二貫

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大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。


高田郁さんの本です。
 
泣きました・・・。
高田さん、本当にあなたは凄い。
 
みをつくし料理帖」シリーズで高田さんの作品を始めて読んで、時代小説の奥深さと人情味溢れる作品にすっかりやられた私です。
 
まだ「みをつくし~」シリーズしか読んでいなかったのですが、別の作品にも手を出してみることに。
 
ああ・・・
何だろう。高田さんの作品というのは、ただ優しいだけではなくて、必要な厳しさが込められている気がするんです。
主人公にこれでもかっていうくらい逆風が吹いても、そしてもう挫けそうになってしまいそうに胸がキリキリする展開になっても、最後にほわっと優しく包み込んでくれるみたいな不思議な余韻。
 
これがいつの間にか病みつきになって、そして後半でぐっときて、滲む涙に驚く・・・。
 
今回は後半のクライマックス、松吉と真帆のシーンで涙が出て来ました。
 
武士の子だった10歳の少年の人生を、銀二貫で買った和助。
商人としての素質があると見染め、丁稚として和助の営む寒天問屋で松吉として新たに人生を歩み始める。
 
凶作、不景気、火事――
不幸な出来事が襲う中、それでも生きていく人々のたくましさ。
 
高田さんはこういう繊細な表現が本当に上手いです。
大注目の作家さんです!