No-music.No-life

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檸檬のころ(再読)

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いっそ痛いと思った、その痛みだけは思い出せた。かっこ悪くて、情けなくて、でも忘れられない瞬間がある。田んぼと山に囲まれた、コンビニの一軒もない田舎の県立高校を舞台に綴る、青春の物語。


豊島ミホさんの本です。
 
「青空チェリー」を再読した後に、読む本がなくて豊島さんの作品の中でも一番のお気に入りなのに、一度きりしか読んでいないままだった本作を読み直してみる事にしました。
 
豊島さんの既刊の本は、アンソロジー含めてもほとんど読んできました。
勿論、エッセイやブログもチェックしています。
 
豊島さんの高校時代の思い出が色濃く反映された本作ですが、それがとてもうまい具合に溶け込んでいます。
 
年齢層も様々、田舎町を舞台にしているのは変わらないけれど、「地味な人なり」の人生を、丁寧に、時に鋭く繊細に描いているのがこの小説なのです。
 
読み終えて思ったのが、
「痛い」ということ。
チクリと胸に刺さるような、この感じ。
 
だけど「愛おしい」と思うような、この気持ちは何なのだろう?
 
やっぱり一番は音楽好きの白田を主人公に据えた「ラブソング」が良いです。
豊島さんの音楽趣味が色濃く反映されていて、そしてそれはまんま私の青春時代の音楽趣味と同調しているので(笑)
 
これはやっぱり、死んでもあの世に持っていきたい作品かも。
私が書きたい小説はこういうのだ!と思う、理想の作品。
 
そして、地味な女子高生だった自分とリンクする部分も沢山あって、やっぱり大好きな一冊です。
読み返しても、やっぱり良い。間違いなくこれは★5つですよ!
 
ちなみに、初めて読んだ時の感想↓