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ニート・ニート・ニート

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「北海道行くべ、北海道!」―危ない筋の女に手を出して東京にいられなくなった住所不定無職のレンチは、失業中のタカシと絶賛引き籠り中のキノブーを無理矢理連れ出し、一路東北道をひた走っていた。しかも「旅には潤いが必要だ」とレンチが出会い系で引っかけた美女と仙台で待ち合わせたはずが、そこにいたのはどう見ても中学生な少女・月子。旅に同行させないと警察に通報すると脅された3人は、しぶしぶ月子を仲間に加えることに…。ヘタレでニートな男たち+家出少女の不思議な旅が始まった。


三羽省吾さんの本です。
 
初めて読んだ作家さん。
タイトルのインパクトに惹かれ、書店で見かけて気になり予約。
 
大体こういうタイトルにありがちな、中身が薄っぺらい小説(だけどそこそこ読みやすい)系を想像しており、全く期待していませんでした。
 
ところが、意外と中身がしっかりしている・・・とか言ったら偉そうですけど、
働く事は何か、という事について考えさせられたのでした。
 
嫌で嫌で仕方なく仕事をしているけど、すっぱり辞める勇気もない。
働く事を放棄して誰かにすがって生きていく事も、全てから逃げ出して引きこもる勇気すらも。
 
だけど世の中、ニート以外の社会人はきっとこういう気持ちを抱えながら毎日を何とか生きている人の方が多いのではないでしょうか。
 
そこそこ有名な会社の子会社に勤めていたタカシ――何となく、会社を辞めてしまう。
元々社会人になるつもりもなく、女に食わせてもらう生活をしている自由奔放なレンチ。
ある出来事がきっかけで引きこもりになったキノブー。
 
いつもやりたい放題で人を振り回してばかりのレンチに強引に連れ出されたタカシとキノブーは、
何故か北海道を目指すことになる。
 
そこで正体を明かさない謎の少女・月子が加わり、3人のニート達と1人の少女の奇妙な旅が始まる――


いっそ、全てから逃げ出し、投げ捨て、奔放に生きられたら良かったのに、と思う。
結局この彼らも、親から見放されていないからこそ、ニートでいられるわけで。
 
読み終えて、結局ニート達の現状は何も変わっていないのに、何となく前向きな気分になれたから不思議だった。
 
就職活動をしている人は無職でもニートではないらしいけど、今年の3月の自分はそれでもニートとほぼ同等の生活だった。
もうあんな辛い日々は経験したくない。
 
・・・・・と思う時点で、やっぱり私はそう簡単に仕事を辞めることはできないんだろうな、と思うとつくづくこの三人がうらやましくなるのでした。
 
三羽さん、初めて読みましたがなかなか悪くないです。他の本も読んでみよう。