No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

子どもたちは夜と遊ぶ<下>

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もう、一人の夜には帰りたくない-
残虐非道な事件に潜む、孤独な殺人鬼と彼を操る共犯者の存在。
罪の意識に苛まれながらも、二人の間で繰り返される恐ろしい殺人という名のゲームは、一体いつまで続くのか?!
そして傷つけずには愛せない、歪で悲しい恋の行方の結末とは・・
辛い過去を孕んだ事件の真相は少しずつ解き明かされ、漆黒の闇を照らしていく-

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辻村深月さんの本です。
下巻。

ああ、ヤバイね。これは良い。
ラストで泣きそうになりました。
そして、どんどん解き明かされる謎と恋愛模様

感情移入し過ぎて気になって気になって仕方がなくなって。
ああ、大好きだ、この作家凄い。

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双子の兄・i(藍)に導かれるように殺人ゲームに参加してしまった浅葱。
自分と兄、二人で4人ずつ、計8人を殺害する。
互いにヒントを出し、次回のターゲットを決める。

大学の先輩、萩野を殺してしまった浅葱は酷く消耗していた。
精神を病み、体は壊れる寸前だった。

そして、この殺人ゲームから降りようと決意する。
しかし・・
そんな浅葱をあざ笑うかのように、iが次に示したターゲットは、狐塚孝太。

月子の大好きな狐塚だった-

自分が殺人をおかさなくては、狐塚が殺される。

そう思った浅葱は、新たな殺人に手を染めることになり・・


iとは一体誰なのか?
そして、次々と明かされる過去の事件の真相とは・・

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ネタバレですが。

何が上手いって、上巻を読んでいる限りだと月子と孝太が兄妹であること、孝太が真紀ちゃんを好きなこと、月子が浅葱を、浅葱が月子を好きなことは分からない。

藍と浅葱は確かに1人の人間として別個に存在しているようにしか思えない。

なのに、ああ・・
ところかしこにヒントは出されていたんだな。

最後に「ああ、そうか・・」とあの時出されていたヒントの答えに気付く。
全然関係ないと思っていた話が、こうして最後に繋がる感じ。

伊坂さんとは全然作風は違うけど、こういう部分は通じるものがある。


浅葱が月子の気持ちに気付かず(浅葱の視点では、月子と孝太は付き合っていると思っているから)、月子にΘであるとばれ、衝動的に殺人未遂をおかしてしまう。
そうして、倒れた月子が持っていた写真で、全てを知る。

月子と孝太が兄妹であること、月子は自分を好きでいてくれていたこと・・

それに気付いた浅葱の叫びや苦悩が、読み手に痛いほどに伝わってくる。
ああ、どうして。
何よこの運命は。

浅葱はつかまり、真相が定かになる。

月子は記憶を失い、浅葱は逮捕されるが突如失踪する・・
そして、ラストでまた「ああっ!」となるのだ。


ただ、浅葱と藍の関係は少し突飛な気がした。
いきなりリアルじゃないような。

それと、恭司の存在が最後までちょっと薄ぼんやりしていたかな。
ただ、確かに彼は浅葱と月子にとってなくてはならない橋渡し役になった訳だけど。


さて、この作家は今の所今年のNO.1になりました。
他の作品も攻めてみようと思います。