No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

鹿男あをによし(文庫版)

イメージ 1
 
大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。ほんの気休めのはずだった。英気を養って研究室に戻るはずだった。渋みをきかせた中年男の声が鹿が話しかけてくるまでは。「さあ、神無月だ―出番だよ、先生」。彼に下された謎の指令とは?古都を舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー。


万城目学氏の、第二作。
 
文庫化するのを、待ちに待っていました。
何度も単行本を買おうか迷っていたんですが、結局文庫化するまでに2回読んで、そして文庫版で3回目になります。
 
初めて読んだ時、「あ、私はホルモー派だな」と思ったんです。
鹿男も勿論面白いのだけど、ホルモーのハチャメチャぶりの方がより好みに近いな、と。
 
しかし、二回目、三回目と再読していくうちに、ホルモーと同じくらいに好きな作品になっていきました。
 
それは一重にドラマ化され、そのドラマの完成度が高く、より具体的にイメージしながら読む事ができるようになったことも関係あると思います。
 
それと、鹿が人間の言葉を喋るとか、奇妙奇天烈な展開は相変わらずなのに、
邪馬台国の話を絡めた壮大なストーリーであり、先生と生徒の絆みたいな、青春の物語でもあり、
神経衰弱で何だか頼りない男のイメージしかなかった「先生」がどんどん成長していく過程を見られる物語でもあったり。
 
幾重にも重なった物語に、いつの間にかぐいぐい惹きこまれてしまうんですよね。
 
特に、堀田イトが凄く良いんですよねえ。
 
鹿が好きで、奈良に行きたくてたまらない最近の私には、大好きな作品であります。
 
 
文庫版の解説には、ドラマ版でリチャードを演じた児玉清さんが担当しています。
まさしくイメージ通りだった児玉さん。
やっぱりダンディで素敵です。