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プリンセス トヨトミ

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会計検査院の調査官である松平元、鳥居忠子、旭ゲーンズブールの3人が、府庁など団体の実地調査のため東京から大阪にやってきた。順調に調査を進める中、不審な財団法人を見つけ徹底的に調査するが、変わった様子もなく引き上げようとしたとき、大阪国総理大臣と名乗る男が現れる。そして、大阪中を巻き込む思いも寄らぬ事態へと発展していき……。


監督:鈴木雅之


え?! 私、個人的にこの作品、全然「アリ」だと思うんですけど!
 
と思うくらい、映画のレビューを見ると低いので逆にびっくりしました。
私はマキメ氏の作品が大好きで、そして映画化と聞いてかなり期待していた訳です。
 
鳥居が女で、旭が男という設定の変更に戸惑いつつ、怖さもありつつも実は結構期待して観に行って。
 
で、私はほぼ満足感で一杯でした。
最近歴史に興味を持ってきたところで、豊臣家の血筋を守るべく大阪中がグルになって何百年も守り続けてきた骨董無形な話も、全力でバカな事をやる(笑)マキメ氏の原作に恥じない出来栄えだったのではないかと。
 
不満を言うならば、やっぱり旭が男に変わっていた事によるラストのあのちょっとした意外な事実が明かされるという、それがまあできなくなってしまうことがね。原作のあのラストが好きだった私にはちょっと残念だったかなと。
それと、茶子と大輔の話が大幅にカットされていたことが残念だったかな。
 
ただ、映画は119分の大作。
会計検査院と大阪国の話をはしょる訳にもいかないし、それも仕方がないことなのかも。
むしろ、よくこの時間内に収めたなと。
 
鬼の松平のシーンでちょっと冗長に感じられる演出があり、そこはカットしても良かったのかもと思いつつ(119分と長い映画なので、だんだん疲れてきてしまう)、それでもよくぞあの原作をここまで再現したな!と。
そっちの気持ちのが強かったです。


そうそう!
これは、ドラマ版「鹿男あをによし」が好きだった人には、絶対にお薦めしたいです。
何故か?
そうなんです。この監督は、鹿男のドラマ版を手掛けていた方と同一の方なのですよ!
 
ドラマ版のあの完成度の高さは素晴らしいと個人的に思うのに、視聴率に反映しなかったりしましたよね。実は原作ファンの中ではとても評価が高かった印象があるのですが、個人的に私は毎週とっても楽しみにしていたのです。
 
それで、※以下よりネタバレなんですが
 
まず玉木宏が特別出演しています。
こちらはあの先生役ではないんですけどね。
 
で、それだけではありません。
原作にも登場していたあの、大阪女学院の南場先生を演じていた俳優さんがきちんと映像でも登場します。勿論、竹刀を持って大阪城へ出陣しますよ(笑)!
 
いやーもうこれは、参りました。感服です。嬉し過ぎましたね。


そして、問題の旭と鳥居の男女入れ替わりについて。
結果的に、綾瀬はるかの鳥居ははまり役でした。
鹿男の藤原君の時もどうなるかと思いましたが、全然違和感なかったように。
とぼけた役が凄い似合っていました。
 
ただ、旭を演じた岡田将生君。
ちょっと印象が薄かったかなと。
原作の旭はラストでちょっとした意外性をもたらすのですが、これは女だからこそのサプライズでしたからね。
原作の旭の設定を引き継ぎつつ、肝心な部分は違っているので中途半端な立ち位置になってしまっていて、あまり目立たなかったのが残念。でも、岡田君メガネ似合いますね。
 
そしてそして、個人的に堤真一中井貴一は素晴らしかった!と思います。
堤さん、よくぞアイス好きの松平を演じてくれましたよ。眉間に皺を寄せてアイスを食べている姿はシュールでしたけど(笑)
 
あとは、茶子と大輔を演じた二人。
茶子を演じた沢木ルカさん、印象的な瞳と一見イケメンな男の子っぽい印象を受けて、中世的な感じが魅力的でした。
大輔を演じた森永悠希くんも、坊主にした後の頭の形が綺麗で(笑)
セーラー服以外は一度も学生服を着る機会がないという役どころでしたが、似合ってましたよ(笑)


という訳で、これは鹿男のドラマと同様に、好き嫌いが分かれる映画だと思います。
 
私は全くもって賛成派ではございますが、歴史が好きではなくて小難しい話が苦手っていう人には無理かもしれませんね。
 
マキメ氏の作品は基本的にコメディタッチではあるけれども、壮大な歴史を背景にしていたほら吹き話であったりするので、こんなことあるわけない!と思いながら引き込まれてしまう魅力を、読み手・見る側がどう取るか、によるのだと思います。
 
私はお薦めしますが、評価は半々に分かれるのかもしれないなあ。
 
ちなみに原作本の感想記事↓
当時読んだ時は、話が壮大過ぎてすっと入って行けなかったのであります。「ホルモー」や「鹿男」に比べると若干評価は低かったようです。この機会に再読してみようかしら。

次回は「マイ・バック・ページ」を観る予定。
妻夫木くんと松山ケンイチ、「リンダリンダリンダ」の山下監督作品とあっては、見ない訳にはいきません!