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最後の一球

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「二番手の男」が投じた友情と惜別の一球が御手洗も諦めかけた「事件」を打ち砕く!「奇跡が起こったよ石岡君」心躍る感動の青春ミステリー。御手洗潔シリーズ長編。


島田荘司さんの本です。
 
御手洗シリーズの中の一作ですが、これもほぼ御手洗と石岡君は出てこない話でした。
 
序盤で御手洗と石岡君の元を訪ねてきた一人の男性が、ある事情から母親が自殺未遂を起こしたという話を聞く事になった。
山梨の片田舎で美容院を営む男性夫婦とその母親。
時折訪ねてくる女性が、お金を支払わない変わりにお好み焼きを持ってきて、それをお代変わりにするのだという。
彼の母親はそれが理由で自殺未遂をしたのではないかと彼は言うのだが、御手洗は母親の自殺未遂の理由をすぐに悟り、いくら自分でも手が負えない事もあると言った。
 
連帯保証人となった父親の悪徳金融業者への借金が膨らみ、借金苦に陥っていた。
もう死んで保険金を得るしか方法がない――
追いつめられた母親は自殺未遂を起こしたらしいのだが・・・


悪徳金融業者の被害にあったこの男性の両親の物語から、ある一人の青年の語りへと話は変わっていきます。
 
御手洗と石岡君は最初と最後にしか出てこないので、3分の2以上が野球に人生を捧げてきた青年の過去を語るという形式で物語が進んで行きます。
 
突然割って入ってきたこの話は、一体どこに繋がるんだろうか?
どんどん読みながら続きが気になって仕方なかったです。
 
父親が自殺をし、母親と二人で貧乏生活を送りながら、いつかプロ野球選手になって母親に楽をさせてあげたいと思いながら生きてきた青年。
最後に物語が繋がった瞬間――何だか感動してしまいました。
 
借金で苦労しているこの男性の真摯な態度や語りが丁寧で好感が持てたのも大きかったかと。
 
ただ、野球が嫌いな人にとっては読むのが苦しいかもしれないですね。
自分は高校野球は好きなので何とか大丈夫でしたが、これがサッカーとかだったら無理だったかも・・・と思うのでした。