No-music.No-life

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小説的、今日のできごと。

(あっ!)
 ふいに、足元に違和感を覚えた瞬間、冷やりとした刺激と不快感が襲った。
履きなれないヒールのある靴が、道路の溝にはまったらしい。
靴からすっぽりと抜けた足が、ストッキング越しではあるが、雨で濡れそぼった地面に直接触れてしまったのだ。
――最低っ!
そんな事を思っても、だけどもうどうにもならない。
 まだ5月だというのに、会社に行かなければいけない日に限って、雨ばかり降っている。
しかも今の会社に入社してから、考えてみればいつも天気が良くない気がする。記憶を思い起こしてみれば、会社に行った日の半分以上が雨だったのではないだろうか。
 湿気でうねる癖毛と、ただ歩くというだけで足元や体全体を濡らす雨を今日は特に憎々しく思う。
 
 息苦しく、とてもあの場所にいる事が耐えられなくなって、私は時々外へと逃亡する。
一人になりたい――と、強くそう思う事が多くなった。
誰とも接する事もなく、話す事もなく、たった一人で何でもできるようになれたらいいのに。そうしたら、無駄に誰かの顔色を窺ったり、小言を言われたり、人の目を気にしなくてもいいのに。
 と思いつつ、現実はそうもいかない事を私はちゃんと知っている。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
そう思っていると、キリキリとお腹が痛くなって、私はトイレに駆け込んだ。
 
 行きたくない、逃げ出したい――思っているのに、一日も休まずに会社に通ってしまう自分の真面目さに、時々本気で腹が立つ。
少しずつでも、毎日何かが進歩してくれているのだろうか? 私は、成長できているのだろうか。
今は全くその成果が見えない。
ただ、ただ息苦しくて、視界が狭まっている。目の前の道はとても遠くて、ここから見る限りとても小さく見える。
 
 明日は、少しでもいい事があればいいのに。
最近良い事がない気がする――と、そう思っている時点で良い事なんて起こらないんだろうな。
ぼんやりとそんなことを思う。