No-music.No-life

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乱暴と待機

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復讐相手として憎まれている限り、
お兄ちゃんが私から離れていくことはない――四年近くもの間、二段ベッドが置かれた六畳間ひとつの古く陰気な借家で同居している三十歳間近の“兄”こと英則と、“妹”、奈々瀬。奈々瀬は上下灰色のスェットにだて眼鏡姿で家に籠もり「あの日」から笑顔を見せなくなった英則のために日々“笑い”のネタを考えている。保健所で犬の殺処分の仕事をしている英則は一年前、天井板の一角に隙間を発見したのをきっかけに、帰宅後、屋根裏に潜り込んでは“妹”を覗く、という行為を繰り返しているのだった……

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本谷有希子さんの本です。

腑抜けども、悲しみの愛を見せろの人というイメージがあるのですが、脚本家?というか劇団作家?さんなんですね。

初めて読んだのですが、いやいや・・凄い。

この臨場感。

メインキャストは4人だけなのに、しかも舞台のほとんどはぼろぼろの借家なのに・・

まるで舞台を観ているよう!

リアリティ溢れる描き方、また言いようのない気持ち悪さというか異常さが、だけど何処かシュールな笑いと共に読み手に伝わってくる感じ。

実の兄と妹の確執の話なのかしら?と思っていたら、いやいやとんでもない。
そういうことだったのね。

しかも、どうしても奈々瀬のキャラが掴めないというか好きじゃないなと思っていたら・・それもまた最後に驚いて。

舞台化されていたようで、一度観てみたかったなと思いました。
もうとっくに終わっているんですよね。残念!