「完全自殺マニュアル」
という本が昔流行っていた時がありませんでしたか?
流行っていたのか否かは定かではありませんでしたが、本屋で何度も手に取って開いてみては難しくて分からない・・という事を繰り返しておりました。
その完全自殺マニュアルを元に小説化したものが、この「小説・自殺マニュアル」です。
はっきり言って、グロイ描写も多いです。
だって、『自殺』が物語を繋ぐキーポイントなんですから。
登場人物が、次々と自殺していきます。
いじめによるもの、そのいじめを助けられなかったことによるもの・・・
その背景にはネット上で「本当に死を望んでいるもの」だけが手にすることが出来る『自殺マニュアルDVD』という存在があった----
首吊り・リストカット・飛び降り・・・様々な自殺の手段がメニュ-にあり、それをクリックすると本当にその方法で自殺をしている映像がナレーションだけのほとんど無音の世界で流れ出す。
そのDVDを手に入れてしまった少女もまた、自ら飛び降り自殺を図ってしまう。
そしてそのDVDを借り受けた男の彼女は自殺未遂を何度も起こしている。
カウンセラーを薦められ、通い始めたカウンセラーの関係者が実は・・・DVDの作成に何らかのかかわりを持っていることを掴み・・・
DVDを作成したのは何者なのか?
何の目的があるのか?
数々の疑問を紐解きながら・・登場人物たちはどんどん死んでいく。
死への恐怖に打ち勝ち、問題を解決していくことが出来るのか?
死にたいと思った人が読む本、というわけではありません。
自殺が話のキーワードとなってはいます。
だけど、謎が一つ、また一つと解けていくうちに、いつの間にか読み終えていました。
でも、本当にマニュアルDVDの内容などは生生しいので苦手な方にはあまりお薦めできません。
最後に生き残るのは・・たったの一人。
死にたいと思っていた人が生き残り、死のうなんて考えたこともなかった人が死んでいく。
不思議なラスト。
読んでみたいと思ったら、試しに如何?
(最近死に関するものばかり紹介している気がするが、ジャンル的に好きなだけで・・・決して死にたいというわけではない)