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バラ色の怪物

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遠藤トモユキ、2年C組。2学期の始業式、屋上で光が閃いた時から、彼のまわりは動きはじめた。奇行マニアのトラブルメーカー・吉川ミチル。行動する中学生の会/代表・三上ハルヒコ。そして、人波を切り裂き歩く、青いつなぎの男―。新しい出会いが遠藤にもたらした、世界のもうひとつの顔とは。

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笹生陽子さんの本です。

笹生さんは、児童文学を中心に書かれている好きな作家の中の一人なのですが・・
この本、今まで読んだ笹生さんの本の中で一番よかったかも。
終わり方が中途半端だったのは残念だけど、物語の始めから引き込まれてしまった。

図書館で借りたのですけど、今年の7月に文庫化されてるらしい。
ぜひ買おうと思った、そんな作品でございます。

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遠藤は、夏の日に校庭で行われた始業式の最中疲労でぶっ倒れ、眼鏡を壊してしまう。

-屋上では、奇抜な格好・ピンク色に染めた頭をした奇行を繰り返す問題児・吉川が今学期初のゲリラを起こそうとしていた。

ガチャ目の遠藤は、眼鏡がないと非常に不便な生活を強いられることになる。
距離感が掴めない。
しかし、父が失踪し母親が仕事で稼ぎ細々と暮らす遠藤家では眼鏡を買いなおす事もままならない。

つい先日、母親の自転車が盗まれたばかりだというのに・・


苦肉の策として、片目に眼帯をして生活をするというアイデアを実行することに。
見かねた友人の宇崎が、遠藤にとあるバイトの話を持ちかける。

中学生を雇い、カードゲームの調達・ネットオークションでの転売・・簡単な仕事だが、給料はきちんと供給される。
その雇い主は、何と遠藤の1個上の中学3年生の三上。

たった1個上とは思えぬほど、知的な三上。

そんな三上の秘書兼ボディガードとして抜擢された遠藤は、その役をこなすべく自らトレーニングや知識を得ようと努力をする。

そして、突然に何者かに襲われそうになる三上。
その男を撃退した遠藤だったが、その数時間後・・宇崎達バイト仲間が何者かに襲われる事件が発生した-

これは、単なる偶然なのか?
それとも、意図的に狙った何者かの仕業なのだろうか・・?


遠藤が奉仕作業をしている学校の温室に入り浸る吉川。
見た目の奇抜さとは裏腹に、意外とまともな人間であることが分かる。

吉川に連れられて見た、顔がくぼんだつなぎの男。

吉川が、どうして人と外れた生きかたをしようと思ったのか・・その理由を知ることになり-
そして、「子供の真の敵って、子供なんだよ」という言葉をヒントに遠藤は真相を究明していくのだが・・

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せっかく吉川という、今までにない奇抜だけど案外まともっていうキャラが出てきたのに(笹生さんの話には、大抵アクの強いキャラが出るのだけれども)あまり話の中心にいないというか、出てくる意味があまりないというか・・

それが残念。
もう少し遠藤のバイトの話とかと絡ませたら面白かったかも。


今まで読んできた笹生さんの作品の主人公は、結構同じ系統だった気がするんですよ。

まともそうだけど、少し間抜け・・っていうか。

しかし今回の主人公は、冷静で大分まともな人間。
ユニークな語りがいつも印象的なのだけれど、久しぶりに真っ当な主人公がきた!って思いました(笑)

そのせいか、遠藤が関わるこの怪しげなバイトと、それをうらむ人物と真相が明らかになっていくまでの動きはなかなかに読み応えがありました。

でも、終わり方が非常に中途半端なのです。
気になる。これは続編があっても良いのでは?と思ったくらい、気になりました。

ともあれ、面白かったのでぜひ読んでみて下さい。

児童書の類なのかな?
すいすい読めちゃうので、お薦めです。