No-music.No-life

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あなたへ

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これがあなたへの最後の手紙になるでしょう。
あなたがこの世界から消えてしまったことが信じられません-

逢えない時間がさらに私を苦しめる。
覚めることのない夢があればいいのに。
でも、夢ですら、あなたにこの気持ちを伝えられないのがもどかしい。

そこに写っていたのは空に向かって飛んでいくシャボン玉。
想いと題された一枚の写真をきっかけに少女は少年へ想いを募らせていくが・・・

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河崎愛美さんの本です。
なんと、15歳のときに書き上げた作品。
小学館文庫小説賞受賞作品。

実はずっと気になっていたのです。
だって、15歳ですよ?

中3ですよ、中3。

お手並み拝見したいじゃないですか。
自分よりうんと下の子が書いたという小説を。

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物語は、が運命的に出会ったあなたへの想いをただひたすら手紙にしたためていくという話。

私の手紙の内容を、読んでいるという形式になるわけですね。

ありがちだけど、事故で死んでしまったあなたへのどうしようもない想いを、ぶつけられなかった気持ちをただひたすらに手紙に込める。

出会いから、どのように惹かれていったのか、お互いの微妙な距離、彼の写真の不思議な力、手紙のやりとり、そして別れ・・

本当にありがちな話だろう。

読み始めて、このネタで延々最後までやっていくのか?とげんなりしかけたのは本当。

だけど・・

最後の一節は、胸がきゅっと締め付けられるようでした。


あなたに伝えたかったことがあります。ただひと言、今まで言えずにいました。生まれて初めて口にする言葉です。 愛しています。


中3が描く物語の主人公達は、同じく中3の15歳。

15歳で永遠に命を失ってしまった「あなた」と、あなたと同じ高校に通える事になって、明るい未来を想像していた残された「私」は16歳になる。

まだまだ幼い、子供の恋愛なのに・・

この二人の何と大人びていることか!

私の時代の感覚だと、ませているガキだなあと思ったりしちゃう位、とても考え方が大人びている。

だから、違和感があったのかもしれないな。

恋だの愛だの、10代で出会った相手を運命の相手のように錯覚しているだけなんじゃないだろうか?
そう思いつつ、だけどしっかり気持ちは伝わってくる。

まだ若い作家だから、これからどうなるのかが楽しみです。

言葉遣いも、しっかりしているし(変な若者言葉とかも一切ないし)・・

今はやりの携帯小説みたいな、ありがちなパターン(誰かが死んじゃうとかね)に比べたら、ぜひこの小説を読む事をお薦めしたいと思います。