半身を奪われるような別れ、あきらめていた人への想い、痛みをやさしさが包み込む。気鋭、桜庭一樹が描き出す、最高の恋愛小説-
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桜庭一樹さんの本です。
るいさんにお薦めされ、早速図書館で借りて読みました。
実は装丁が綺麗だったので、とても気になっていたのです。
七竈って、何だろうと思っていたのです。
何かの言葉なのか?って。
何かの言葉なのか?って。
植物らしいです。
で、主人公の女の子も同じ名前です。
で、主人公の女の子も同じ名前です。
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いんらんな母が、誰とも知れない男との間に身ごもった子供、それが紛れもなく美しい娘七竈であった。
その美しさ故、また母の悪い噂が絶えない小さな街で暮らす故に、常に好奇の目にさらされてきた。
美しいということは、異端でもあり、良くも悪くも目だってしまうのだ。
そんな同じ境遇を抱えている桂雪風もまた、美しく生まれてしまったが故、異端であった。
二人は、幼馴染として、また鉄道マニアとして唯一心を通わせている。
だがしかし・・お互い口に出すことはないが、お互いがあまりにも美しいこと、またその美しさが同系のものであることに薄々気付き始めていた。
また、末の妹と七竈が姉妹に間違われたこと。
・・それは偶然ではなく、全ていんらんな母のせいであった。
この悲しい運命は。
この悲しい運命は。
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大学進学を控え、地元の大学に進学するという雪風と、ここにいつづけることは出来ないと悟った七竈は、東京の大学へと進学することになった。
ついに、二人は離れてしまうのだ。
そして、母に長かった黒髪をバッサリ切ってもらい、男の子のように短くなった髪・・その姿は、紛れもなく雪風そのものであった。
いんらんで、七竈を産んでもなお、自分の求める道を進み続けて旅に出ては家に戻らない母。
母を憎み、運命をのろいながら・・・それでも母の愛情に飢えている事がちょっとずつわかってきて・・それだけでも切ないのに、唯一の心の支えのような雪風との非情な運命-
母を憎み、運命をのろいながら・・・それでも母の愛情に飢えている事がちょっとずつわかってきて・・それだけでも切ないのに、唯一の心の支えのような雪風との非情な運命-
何だか読後、ぴりっと辛いみたいな、ひりっとするような痛さが襲いました。
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しかし、この七人の大人っていうのは誰を指すんだろう?
母の7人の相手の事なのか。
それとも七竈を取り巻く大人達のことなのか?
それとも七竈を取り巻く大人達のことなのか?
核心に触れそうで触れない語り口にもどかしさが。
美しくも極端に不細工にも生まれなかった普通の私には、到底七竈のような気持ちは分かりませんが、美しいなりに大変なんだなあ・・と思ったりしました。