大麻を隠し持って来日したポール・マッカートニーが一曲も演奏することなく母国に送還され、ビル・エヴァンスがジョン・ボーナムがジョン・レノンまでも死んでしまった、1980年(昭和55年)。醒めた熱狂の季節に、音楽にイカれバンドに入れあげるボーイズ&ガールズが織り成す、青春グラフィティ。クラシックの、ジャズの、ロックの名曲にのせ、総勢三十四名のメンバーたちが繰り広げる、大群像劇。四半世紀の時を経て僕らは再結成に向かう。吹奏楽部を舞台にしたほろ苦い「青春」小説-
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津原泰水さんの本です。
津原さん・・語ると物凄く長くなりますが、初めて読んだ作家ではありません。
彼とは、既に小学生の頃に出会っていたのであります。
そもそもこの作家は、昔少女小説家として8年間活動をされていたのであります。
当時の名前は津原やすみ。
元々の出会いは、私が好きな漫画家の新井葉月さんという方がいるんですが(なかよしとかで連載していた方で、ファンレターを書いたら返事を何度ももらったんですけど)。
その方がこの津原さんの小説の挿絵をかいていたわけです。
その方がこの津原さんの小説の挿絵をかいていたわけです。
その中でも、私はこの津原さんが大好きでした。
とりわけ、あたしのエイリアンシリーズが長々と続いていたのですが、その登場人物達の個性豊かなキャラ、恋愛のしがらみ、それでいてヒロインの恋人が何処からどうみても人間なのだけど、エイリアンであり、不思議な能力を持っている・・
という突拍子もない話でありながら、SFでもあり、ファンタジーでもあり、恋愛でもあり・・
ととても面白い話を書く作家なのでした。
最後の最後に発表した小説でとうとう津原氏が男性作家であることをカミングアウトしたのでありました。
8年小説を書き続けてきた中で、一人称を使わないというあとがきを書き続けた作家。
私は女性作家であると信じて疑ったことはありませんでした。
その後、一般小説(ミステリなど?)の世界に移り、津原泰水と名前を変え、数々の本を発表していたようです。
ただ、どうしてもイメージというものがぬぐえず今の今まで手を出せなかったのです。
だから書店でこれを見かけた時、元吹奏楽部としては絶対気になるタイトルだったのと、あの津原さんの本だと気付いたのでかなり葛藤しました。
最近他の方のブログで、この本を薦めているのを拝見したので・・図書館で借りて読んでみたのでした。
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私にとっては、元・吹奏楽部という思い出と、昔の津原さんの思い出が混在したかのような不思議な感覚で読みきることができました。
現代と、過去(高校時代)が入り乱れ、境界線もあやふやなのだけど・・
初心者だった者が、楽器に魅了され少しずつ本気を出し始めて行く様はとても面白く、なまじ自分が同じように全くの初心者であったところからスタートしたことも相まって、感情移入をしてしまうのでありました。
それぞれの登場人物の、個性豊かさは昔のまま、生き生きと描かれており、それでいて読みやすさは変わらない。
歳を経て、環境も変わってしまった元部員達が、少しずつ集結し始め、あの頃の感覚を取り戻すかのようにまとまっていく過程が描かれていて何ともうきうきしてしまいます。
ただ、登場人物が多い。
何しろ部員1年~3年、顧問の先生なども合わせると結構な人数。
登場人物紹介が載っている位なのですが、私は最後までこの人はどういう人だっけ?
と把握しきれなかったのが残念でありました。
と把握しきれなかったのが残念でありました。
また、結局集結して演奏本番前のところまでしか描かれていないので、結局どうなったのかが不明なまま。
これはこれで想像に任せるということなのでしょうか?
ともあれ、久々の津原さんの本。
私は結構楽しめました。
私は結構楽しめました。
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で、この作中にも出てくる火星・木星・ムーンナイトセレナーデなんかは、実際演奏していたので、懐かしくなって譜面とフルートを出してみました。
久々に組み立ててみたけど、音出るのか?
そもそも私、まだフルート吹けるのか?
という疑問に襲われながらも、夜なので吹くに吹けない。
日中でもアパートだから吹くに吹けない。
日中でもアパートだから吹くに吹けない。
で、またケースにしまってしまうのでした。