No-music.No-life

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FINE DAYS

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死の床にある父親から、僕は三十五年前に別れた元恋人を捜すように頼まれた。手がかりは若かりし頃の彼女の画。僕は大学に通う傍ら、彼らが一緒に住んでいたアパートへ向かった。だが、そこにいたのは画と同じ美しい彼女と、若き日の父だった…

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本多孝好さんの本です。

個人的に、今まで読んできた本多さんの本の中で良いと思ったMOMENTよりも上をいく位に良かったです。


初の恋愛短編集、って言いつつ、完全なる恋愛話ではないところが不思議な魅力を持っています。

石田衣良さんとかは、色々なジャンルを書ける人だと思うんですよ。
代表作IWGPとかもそうだし、恋愛小説だって書けちゃうし、専門的な話も書けちゃうし。

だから、さらっと自然な恋愛模様を描いていて、これこそ恋愛なんだなあっていう感じなんだけど(うまく言えない)。

伊坂幸太郎さんとか、今回の本多さんみたいな恋愛小説といいつつ、恋愛小説でもないっていうこの微妙~な風合いを出せる作家って少ないと思います。

しかも、本多さんはるいさんが薦めてくれた時に乙一っぽいと言っていた理由が分かったような気がして。

恋愛を大前提として書いているはずなのに、ミステリ的要素があったり。
これは乙一さんと違うけれど、不思議な能力を持った人が出てきたり。

今回も、4編中2編にそういう能力を持った登場人物が出てきて、それがミステリ的要素を醸し出しているんですよ。


FINE DAYS
イエスタデイズ
眠りのための暖かな場所
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一番上の内容が、エスタデイズ
読んでいてとてつもなく切なくなりました。

で、一番面白かったのが、眠りのための暖かな場所

これは恋愛なのか?
って思うようなサスペンス的要素も含んだ内容です。

あと、不思議な能力を持った人も出てますし。

主人公の女性が、男っぽいサバサバした喋り方をするところに共感。


幼い頃に家族で事故に巻き込まれ、妹を殺した罪悪感に悩まされ続けてきた主人公。
大学院生として教授の手伝いをする傍ら、しぶしぶ参加する羽目になったゼミの飲み会。

そこで、ゼミに参加しつつも人と距離を置いている結城と話をする機会を教授によって作られたのだ。

話かけてはみるが、素っ気無い結城。
だがしかし、 家で姉と二人で暮らしているという話になったとき、何処か怯えているのに気付いた。

自分と同じ、闇を持っているらしい結城。

自分の、過去。
結城と姉の、秘密。

少しずつ心を通わせていく中で、結城は姉の話をするのだった-

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最後が、凄く中途半端に終わります。
続編もかけそうな位です。

このドキドキ感。

にこにこ微笑むだけの姉が、怖いです!

これは今度本を買おうと思います。
それほどまで素敵な作品でしたよ☆