グラスホッパー

「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す－

－－－

伊坂幸太郎さんの本です。

文庫新刊ということで、購入してみました。

街を歩く人々に声を掛け、怪しげな健康食品の契約をさせるという非業法的な組織『令嬢』に契約社員としてもぐりこみ、妻殺しの犯人・寺原社長の息子への復讐の機会を伺っている鈴木。
偶然息子が車にはねられるのを目撃したが、誰かに押されたように見えた。

上司の比与子にうながされるまま『押し屋』の後をつけることになった鈴木。
たどり着いた先には、押し屋と思われる男の家族がいた。
とっさに鈴木がとった行動は、押し屋の息子に家庭教師をつける気はないか？という提案だった。
意外にも家に招きいれられた鈴木だったが…

鯨は、依頼を受け今日もとある人物を自殺させるべくホテルの一室で男と一対一のやりとりをしている。
今回も目の前の男が首吊り自殺をした。仕事を終え、目眩に襲われると…自分が自殺をさせた人間の亡霊が現れた。
交差点では、誰かが人をはねたらしい。そしてその喧噪から離れるように立ち去る人間を見た鯨は、押し屋だと直感的に悟る…

蝉は、いつものように仕事をこなしていた。
一家惨殺の依頼を受けた仕事仲間の岩西から指示を受け、ナイフで殺し、仕事を終える。
すると、すぐに岩西が次の仕事の依頼を受けたらしい。
ある政治家から、鯨という大男の殺しを依頼されたという。
約束の時間に遅れた蝉がホテルの部屋に着いた時には、既に別の男…依頼主の政治家、梶の死体が残されていた…

－－－

伊坂さんは・・いつも関心してしまうのですが、複数の人物の視点から物語を書いていく形が多いのですが・・、時間の経過の描き方とか各人物との絡め方・・
そういった複雑な書き方がとても上手いですよね。

一見接点がないように思えたそれぞれの物語が繋がっていく感じ。

それに、押し屋の家族の秘密にも驚きました。
設定が細かいのに、後半になるにつれて少しずつ紐解かれていく謎は清清しくもあります。

中盤からどんどん引き込まれていきました。

蝉が結構好きでした。

でも一番普通の人間なのに、上手く世渡りしちゃう鈴木は良かったですね。

今度は、図書館で借りてきた本を読まねば！