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空をつかむまで

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少年達の野球を描くバッテリーも、陸上を描く一瞬の風になれも、飛び込みを描くDIVEも良いけど、ひょんな事から、トライアスロンに挑む事になった15歳の三人の少年達の物語なんて如何でしょうか?

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小学生の頃、サッカーが上手く皆から期待されていた優太
中学に入ってから、突然今まで人より上手くこなせていたはずのサッカーが上手く出来なくなってしまう。

そうして焦って練習を続けた結果、膝を痛めてしまってからはサッカーも辞めてしまった。

それからは何もかもが上手くいかなくなり、今ではさして痛みなど感じない程良くなったはずの膝をかばうように、体育の授業も見学し何もかもから逃げ出すようになってしまった。


将棋部に入っている優太と、実家が牛乳屋の幸次郎ことモー次郎は、顧問の宇賀神の計算によって水泳部の臨時部員として無理やり引き込まれたのだ。

そのため、好き好んで水泳部に来ているわけではない二人は、惰性で水泳部に参加している。

宇賀神は、唯一の正式な水泳部員の岡本暁人ことが大会記録を打ち出す実力の持ち主ということで水泳部を存続させているのだ。

そんな中、姫が宇賀神の機嫌を損ねた事で水泳部は解散の危機に。

嫌々水泳部に参加していた優太とモー次郎は喜ぶが、結局は姫が二人を再び水泳部に参加させようと懇願してくる。

宇賀神が、優太とモー次郎も一緒であれば姫の水泳部の復帰を認めるという条件をつきだしてきたせいだ。

しかし、宇賀神の口から更なる条件が追加された。


「ジュニアトライアスロン大会におまえらに出てもらうから」


スイム、バイク、ランにそれぞれ一人ずつ参加し、リレーをする。

スイムは、泳ぎが得意な姫が。
バイクは、毎朝牛乳配達で自転車を漕いでいるモー次郎が。
ランは、優太が担当することに決まった。


優太は、膝の故障を理由にまた逃げようと思っていたのだが・・

幼馴染で姫の彼女でもある美月の説得もあり、走る事を決意する。

参加さえすれば、水泳部の復帰を認めてもらえるからとなめてかかっていた姫だったが・・

とある有名トライアスロンチームとの勝負に惨敗し、気持ちにスイッチが入る。
トライアスロン選手だったという謎のおじさんがコーチとなってくれ、三人のそれぞれの勝負が始まる-

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関口尚さんの本です。

前に述べたスポ恨小説?三作が好きな人に、ぜひとも読んで頂きたいと思う、お薦めの小説です!

関口尚さんを知ったのは、ジャケ買いしたプリズムの夏でした。
物語の中に茨城の地名が出てきたりしたから、何故に?と思っていたら…
出身大学が茨城らしいのです。

しかもご出身は栃木の岩舟町!
・・うわ~地元から近っ!

それでいて、何処か冷静なようでいて、物語の中で鋭く世間の問題点(自殺やいじめ、引きこもりなど)を描きつつも、独特の余韻を残してくれる小説を書く方です。

私は好きですね。
特にこの小説は文句なしに面白かった!
いかんせんうまく行き過ぎな点もありつつ(トライアスロン初心者なのに!みたいな・笑)それでいてナイフで刺す同級生とか、いじめ、両親の離婚、引きこもり、幼なじみが遭遇した事件…
といった社会問題や、市町村合併の話題も盛り込まれていたり、友情や恋愛への憧れ、挫折や諦め…
など様々なものが描かれているので、一口にスポ恨小説だなんて言えないかもしれないけれど。

それでも、読んでみる価値はかなりあります。

ぜひ。