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パルパルと青い実の話(「卒業。ピュアフルアンソロジー」より)

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3月上旬に発売されたはずのこの文庫本。
何故今週末にようやく店頭に置かれたのか?が謎です。

しかも地元の本屋に一冊しかなかったし。

しかも・・・乱丁だったんです。

2ページ程やられていまして。
最初折れ目がついているだけなのかと思ったら、見事に背表紙にのりづけされた状態になっていて、ページが開けないんですよね。
折れてしまって読めないので、豊島さんの短編(は無事だった)だけ読んで交換してもらうことにしました。

まだ豊島さんしか読んでません。

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「卒業」をテーマにした話。

パルパルと青い実の話

パルパルというのは、春田千哉のあだ名なのだが・・小さい身体でよく動く彼には似合っているあだ名でもある。

小さくて可愛らしく、人気者のパルパル。
3年になってもまだぶかぶかの学生服、高い声・・地味目の女の子たちからはうっすらと人気がある。

そのパルパルを好きな女子の中で、一番近い存在にいる野々村。

ひょんなことから、自分が作ってきたお弁当をこっそり手渡しているのだ。

幸福の保存食であるビスケット。
冬になっても、まだほとんど円形のままだった。


中学3年。
進路問題で慌しくなる教室内。

学年で3位の成績である野々村は、パルパルと同じ高校に行きたいと目論んでいる。

だからこそ、冬になっているにも関わらず志望校を決めていないのだった。

模試の結果は、学年1位。
これを親に見せたら、トップの高校に行けといわれるのでは?と恐れる野々村。

思い切ってお弁当を手渡す際、パルパルに志望校を聞いてみる決意をする。

模試の結果をお互い見せあい、愕然とする。

学年1位の自分。
学年95人中89位のパルパル。

それでも、同じ高校に行きたいと願う野々村はパルパルと同じ高校を受けようかな・・と口走しってしまいー

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豊島さんの一見軽いようでいて、絶妙な思春期の心が妙にリアルだった。

私は何にするにしても、付き合っている人や好きな人を物差しに物事を捉えたくないタチなので、「あの人がやるなら、私も同じことをやる」とかそういう発想が基本的に好きじゃないのです。

この物語の場合、最大のストレスである高校受験が絡んでしまったからタイミングが悪いんだろうな、と単純に思います。

でもパルパルと気まずくなってきっと嫌な存在として思い出すくらいしかなくなってしまうと悟った野々村の気持ちが何とも現実的で、考えさせられました。

短編だから短いのが残念。