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大きらいなやつがいる君のためのリベンジマニュアル

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他人から理不尽な仕打ちを受け相手に憎しみを抱いてしまっている若者や、スクールカーストがはびこる教室や空気を読み合う狭い人間関係に息苦しさを感じている若者たちへのメッセージ。高校時代に級友に傷つけられその精神的ダメージに長く苦しめられてきた著者が、自らの体験を振り返りながら憎しみとの向き合い方を語る。

豊島ミホさんの本です。
 
豊島ミホ」さん名義で文芸書ではないものの、まさか新刊を読める日がまた来るとは・・・!
と感慨深いのですが、作家業を辞められてからも時々ブログを読ませていただいている中で知った情報でした。
 
早速図書館で予約。
リベンジマニュアル・・・というか、復讐マニュアル・・・?!
いいんですかこんなタイトルで、内容大丈夫ですか?!とドキドキしながら読み始めたのですが・・・・
 
なんだろ・・・痛い、痛すぎるんですよ。
物凄い古傷をえぐられるような感じで。。
 
私は豊島さんの「底辺女子高生」を読んで、勝手に豊島さんと親友になれる!と思ったくらい、全く同じスクールカーストの最下層にいる人間でした。
もう何度も何度も読んだエッセイですし、直接的ないじめにあった訳ではないけれど、クラスの誰よりも下の人間である、見下されている、自分に自信が持てない、という感情は痛いほどよく分かり、この本を読んでまた当時の息苦しさが蘇ってくるかのようでした。
 
中高生が「復讐」をするためのマニュアル本、というような本では残念ながらありませんが、豊島ミホという作家のファンであれば、この本は購入してまで読んで欲しいと思いました。
 
豊島さんが高校時代に受けた扱いの過去編から、保健室登校になってしまった過程、原因の分析、導き出された結論と間違えた対処法、対処法を社会人(=作家)になってからも続けた結果の、作家辞める宣言、全てを失って一度「死んだ」こと、夢を再び追おうと決意し、夢破れ、別の道へと進むに至り、最後に出た答え・・・という感じの流れで本書は綴られております。
 
特に、漫画家を目指していたのにたまたま応募してみた新人賞を受賞し作家としてデビューすることになった豊島さんが、本当に書きたいものを書けなかったこと、無難な万人受けをする小説を意図して書いてきたこと、2年先までスケジュールを詰め込まれ、そこでふいに作家を辞めようと決意するにいたった過程は、「また作家として戻ってきてほしい」なんていう希望を打ち砕くようなある意味で壮絶なエピソードが書かれていました。
 
高校の頃の傷を10年以上もずっと引きずってきた豊島さんが、どの媒体にも書いてこなかった同級生から受けた決定的な仕打ち・・・あれは・・・辛い。あんなんされたら立ち直れない・・・。
ところどころあまりにも分かると思うエピソードが書かれていたり、古傷が開いてくるようで途中途中読むのを辞めてしまいそうになったりもしましたが・・・
ラストでは豊島さんがちゃんと過去の自分に折り合いをつけて新たな一歩を進んでいるのと同時に、同じような環境で悩んでいる人にも、自分を責めなくていいんだよ、大丈夫だよ、とそっと背中を押してくれるような締め方だったので安心しました。
 
何か言いたい事が沢山あり過ぎてうまく感想が書けなかったのですが、これは復讐をしたいと思っている人が読むマニュアルではないので、ハウツー本としては満足できない人もいるでしょう。
個人的には「豊島ミホ」という作家を好きな人にこそ読んでほしい本です。
(5点)