No-music.No-life

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温室デイズ

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教室に紙飛行機が飛びはじめる。始まりの合図だ。もうすぐ崩れだす。でも、教師はまだ気づかない。日本の平和ボケは、学校の場でも存分に発揮されている。生温い方法では、もう追いつかなくなってしまうのだ。「今なら、なんとかなるはずだよ」。私は祈るような気持ちで崩れていく学校を見ていた…。この温室のどこかに、出口はあるのだろうか―

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瀬尾まいこさんの本です。

前回読んだことで、すっかり瀬尾さんの作風に癒されてしまった私。
図書館においてあったので、借りてきました。

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とある中学生の2人。

みちると優子。

同じ小学校に通っていた二人は、小学校の時に学級崩壊になりかけたクラスにいた。

そのクラス-6年2組は荒れていて、髪を染める者、規則違反で自転車通学をするもの、遅刻は日常茶飯事。
登校拒否児も数人いて、皆が好き勝手に行動していた。


テストは平気でカンニング・まずい給食は食べない。代わりにお菓子を食べる。黒板にも机にも落書き。
サボル児童が多発し、それだけではない。

物から人を標的にすることに目的がうつると、クラスで可愛い女の子前川さんがいじめの標的になった。

女子は彼女を全員で無視し、男子は彼女をばい菌扱いした。

次第には、前川さんだけでは足りなくなり他のターゲットを見つけてはいじめを繰り返す。

みちるも、いつ自分が標的になるのかとビクビクしていたが、空手を習っていたことと、伊佐瞬という幼馴染がいたことが楯になっていたのだ。

瞬は不良の度合いが皆と違っていた。小学校の分際で飲酒も喫煙もしていたし、家はかたぎの仕事ではなかったからだ。

みちるは、自分が立場的に優位であることを知ると、少しずつ皆の先頭にたって動くようになっていた。
しかし・・
二学期の終わり。
前川さんが突然転校することになった。

いじめの標的がころころ変わる中で、彼女だけは、ずっと変わらずいじめられ続けていたのだ。
それは、いじめに対して決して屈しなかったせいである。

転校とはいっても、隣の学区に行くだけではあったがクラスの皆が自分たちのしていたことの重大さに気付くいい機会になったのだ。

そして、5年の時先生からの一言で登校拒否をしていた斉藤君が戻ってきてクラスのリーダーが生まれた。

卒業間近。
ようやくまともな学校生活を送ることが出来たのだ。

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そして中学3年。

またしても、学校が荒れ始める兆しが見えてきてしまった。
そんな日々をみちるの視点と、中学で再び再会した前川優子の視点で描いていく。


崩壊していく学校の様子に、小学時代の苦い思い出を抱えるみちるは行動を起こしてしまう。

皆の前で、現状についての発言をしたことがきっかけで、みちるはたちまちいじめの対象になってしまったのだ。

クラスの皆から無視され、優子が話しかけようとするとみちるはそれを拒否する。

ぼろぼろになった鞄と、誹謗中傷の日々。
先生も、友達も誰も助けてなんてくれない。

それでも毎日学校に通い続けるみちる。

しかし、そんな姿を見るに絶えられず、また話しかけることも出来ぬまま優子は教室にいることをやめてしまう。

ますます孤独を増して行くみちる。

クラスのパシリを買って出ている斉藤君だけが、唯一の話相手となっていたみちるにとって、学校に行く意味とは何なのか?

そして、教室から学校、学校からカウンセリングへといるべき場所を見失っていく優子。

荒れていく伊佐。

スクールサポーターの吉川。


「逃げるが勝ちっていうのもありでしょ?そんなむきにならないでさ、やつらには勝てないって。正気じゃないもん。さっさと教室から避難しなよ」


現状から逃げるばかりだった優子。


「・・私は、先生に教室に行こうよって言ってほしい。ちゃんと学校に来いよって言ってほしい」

現状から逃げる事が出来ないみちる。


そんな二人が、意を決してそれぞれの行動に出るのだが・・

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厳格な父を恐れて、絶対にいじめられていることをばれないように無理をし続けるみちる。

だけど、それを知った父はみちるの予想に反して・・。
みちるの心は、弱まる所かもっと強くなっていくのが凄いと思った。


小学校時代にいじめられることを経験した優子は、現状からドロップアウトしようとするが・・
みちるの為に、伊佐君に近づいて行動を起こそうとする・・

形は違えど、何だかとっても勇気をもらった気がします。

スクールサポーターの吉川も、案外教師が向いているかもしれないよな、なんて思ったりしました。

こんな風に立ち向かっていける勇気を持っている子なんて、ほとんどいないだろう。
私には、優子にもみちるにもなれない・・クラスで無視をする中の一人になってしまいそうで、やりきれなかった。