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教室内(スクール)カースト

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「なぜ、あのグループは教室を牛耳っていて、このグループには“はしゃぐ権利"すら与えられていないのか……」。「スクールカースト」とは、主に中学・高校のクラス内で発生するヒエラルキーのことで、小学校からその萌芽は見られる。同学年の子どもたちが、集団の中で、お互いがお互いを値踏みし、ランク付けしていることは、以前から指摘されており、いじめや不登校の原因となるとも言われてきた。
ステイタスの決定要因としては、人気やモテ度、運動神経などがあり、上位から、「1軍・2軍・3軍」「イケメン・フツメン・キモメン」などと呼ばれるグループに分断され、グループ間交流はほぼ行なわれなくなる。スクールカーストは、いじめの温床となるだけでなく、どんな生徒にとっても、クラス内での居心地の悪さや、学校で自己を発揮するのを阻害する要因となる。本書では、これまでのいじめ研究を参照しながら、新たに学生や教師へのインタビュー調査を実施。教室の実態や生徒・教師の本音を生々しく聞き出している。
生徒には「権力」の構造として映るランク付けが、教師にとっては別の様相に見えていることも明らかに……。
また、中学生への大規模アンケート調査結果もふまえながら、今後の日本の学校教育のあり方に示唆を与える。


鈴木翔さんの本です。
鈴木さん、1984年生まれ、学年は不明ですが同じ年の生まれです!
 
「なぜ、あのグループは“上"で、このグループは“下"なのか……」
 
スクールカーストとは何ぞや?
と思う方もいるかもしれません。
 
クラスにはギャル系や野球部やサッカー部やバスケ部に所属する男子などの最上位から、中間層、文化部所属やオタクや地味系などの最下層のグループが気付けばできていませんでしたか?
 
特に中学・高校のクラス内にそれは顕著に見えるのではないでしょうか?
 
豊島ミホさんのブログで紹介されていた事がきっかけで読んでみたいと思っていました。
冒頭から豊島さんの「底辺女子高生」の一文が引用され、朝井リョウさんの「桐島、部活辞めるってよ」や綿矢りささんの「蹴りたい背中」などの小説が紹介されます。
 
何故私が好きな作家の作品ばかり?と思っていたら・・・あった・・・!私が勝手に感情移入する要素がこの3冊にはめちゃくてゃ入ってた・・・!と気付き、愕然としました。
 
最上位に位置する生徒には許されるワガママや発言を、否定することも自分の意見を言う事すらも暗黙の了解的にできない最下層のグループ。
 
私は確かにそこにいました。
 
この作品では小学校の頃から少しずつカーストができあがっていく片鱗を見せながら、中学・高校でそれが顕著になっていく様や、カーストの各層のグループが「自分の意見を言っている」「部活動の所属」「彼氏彼女の有無」等々統計が取られていて、その歴然とした差が分かって興味深いです。
 
中学の時、5人(上位)・8人(中位)・2人(下位)のグループがありました。
私は当時中位グループに属していたのですが、修学旅行の部屋決めで8人・7人で部屋割りをするとなった時に、上位グループが下位の2人と一緒は嫌だと揉め、放課後残らされたことがありました。
最終的に私達のグループから割と上位の人と喋る2人を抜いて班が決定したのですが、班決めに今考えたら馬鹿みたいに何日も時間をかけていたのを思い出します。
これも結局、上位層のワガママが通ったいい例と言えるのではないでしょうか?
 
また、高校一年の頃は中位層にいたのでそれなりに楽しい日々をおくっていましたが、クラス替えで高校二年・三年は暗黒時代が訪れました。
クラスの女子の3分の2がギャルだったのです・・・!
そして私は簡単に下位に転落し、下位の中でもクラスで最下位だったのではないか?という存在になっていました。
 
勿論、今でもその時に出会った友達とは仲が良いですし、友達と交流していた時はそのグループに不満は全くありませんでした。だけど、団体のスポーツ(バレーやバスケ)で少しでもボールを取れない事などあろうものなら、理不尽な嘲笑や見下した言葉を浴びせられる事など日常茶飯事。
スポーツ大会でバドミントンの選手だった私でしたが、「勝ちたいから」と圧力で他の友達(バド経験者)と選手交代させられ、出場さえさせてもらえなかったことや、同じグループの子と出場した卓球で惨敗した時の反応など・・・今思い出しても「いじめ」ではないけれど、限りなくそれに近い経験をしてきた事を苦々しく思い出しました。
 
また、本書の中では貴重な先生から見たカーストが語られます。
インタビュー対象の人数が少ない事もあるのでしょうが、この先生は上位層にいたのではないかなあと思える発言(下層の生徒を完全に見離している)が多く、読んでいて辛くなるほどでした。
 
前半は読みやすいのですが、途中から読みづらさもあったのですが(あと過去を思い出して古傷をえぐられるのでページが進みづらい・笑)、かなり興味深い一冊でした。
 
それにしても、サイン帖を上位の子が下層の子に書いてもらったのに、それをゴミ箱に捨てるなんていうパフォーマンス(?)は完全に「いじめ」ではないのでしょうか・・・
それを笑い話として語っている上位のインタビューを受けている子にも好感は持てなかったです。
 
カーストの上位がどんなに権力や発言力があったとしても、必ずしも好かれている訳ではないどころか、むしろ嫌われている可能性の方が高いのは、学生社会だけでなく働く社会にも言えることなのかもしれません。
(3.5点)

豊島ミホさんのブログもぜひ読んでみてください。
「新書『教室内カースト』読みました(12/21)」