No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

ヘブンリー・ブルー 「天使の卵」アナザーストーリー

イメージ 1

19歳の歩太と27歳の春妃のせつなく激しい恋を描いた『天使の卵』から12年。そして『天使の梯子』から2年。29歳の妹・夏姫が回想するエモーショナルな懺悔。哀しくて、エロティックな青春の詩。

---

村山由佳さんの天使の卵シリーズの最新作、というか妹夏姫の視点から見たもう一つの物語。過去を振り返る回想物語とでも言いましょうか。

図書館に置いてあるはずなのに、一向に返却されず待ちくたびれていた一冊。
古本屋さんにて発見し、購入してしまいました。

---

大好きだった彼氏・歩太と姉・春妃から裏切られ、後悔してもしきれない程の言葉を投げつけてしまった夏姫。

間もなく姉は亡くなり、後悔だけは生き続ける・・
29歳になった今でも。

---

天使の卵で描かれたシーンの断片を思い出しながら、あの時はこうだった・・
という夏姫の懺悔が痛々しく、またあの時悪役のようにうつったことが不思議なように、夏姫には夏姫の考えがあって、想いがあったんだなとしみじみ感じました。

そして天使の梯子で描かれた慎一との恋の断片と、現在進行形で続く居心地の良い関係。

ラストには、姉をなくしたという傷から立ち直れなかった、歩太と夏姫の再生が少しだけ描かれていてほっとしました。

この一冊は、普通にシリーズの最初から読まないと意味が分からないかもしれないですね。
だけど、読んだ人にとってはちょっと物足りないかも。

あくまで回想しながらの語りだから、同じ部分を別の視点で見ているわけですからね。


でも、これはエロティックというのでしょうか?

エロティックというより、この一冊が独特の孤独感を持っているように思いました。
痛々しい程に、夏姫の懺悔と後悔が押し寄せてきました。