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ぼくらのサイテーの夏

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一学期の終業式の日、ぼくは謎の同級生、栗田に「階段落ち」の勝負で負けた。ケガをしたうえ、夏休みのプール掃除の罰まで下された。よりによって、あの栗田とふたりきりで…。サイテーの夏がはじまった・・!-

笹生陽子さんの本です。
今日読み終わりました。

やっぱり・・笹生さんは凄い・・。
今回の作品は、デビュー作らしいので、あまり期待はしてませんでした。
今の作品は面白いけど、最初はどうだったんだろう?
興味があって購入してみると・・。

面白かった。

序盤は「まあまあかな?」程度だったのが、半ばから一気に面白くなるんです!

笹生さんは、いつも少年を主人公にしているけど、同じく少年を主人公にすることが多い「あさのあつこさん」の描く少年の魅力とはまた一味違った「魅力」を放っているんですよね。

少し背伸びした、大人になりきれていない、だけど子供でもない・・そんな少年の姿はとても好ましく好感が持てます。
いつもちょっと冷静な男の子だったり、本当は弱い部分を持っているのに強がっている男の子だったりするんですが、今回も例に漏れず
仲間うちでは、「ハードボイルド」というイメージをもたれているけれど本当は違う、だけどかっこつけてしまう主人公、桃井の話。

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終業式。
階段落ち(なるべく高い段から勇気を持って飛び降り、落ち方段の高さで得点をつけ、競いあうという遊び)の勝負に負けた上、怪我をし、階段落ちの遊びは禁止され、先生からは罰としてプール掃除を言いつけられた桃井。

気乗りしない仲間達、勝負相手だった二組のクラスの奴ら。
夏の蒸し暑さ、苛々も手伝って「一人でやります」と言い放つ桃井。
しかしそんな中、一人「俺、やってもいいですよ」と名乗り出た男がいた。
そう、そいつが自分より背の高い「栗田」だった。

そうして、サイテーの夏が始まった。

毎日のプール掃除に、遅れることなく現れる栗田。
三日坊主になるだろうという予想はことごとくはずれ、毎日二人のプール掃除は続いている。

一匹狼の栗田に最初は「嫌い」という印象しかなかった桃井だったが
クラスメイトの調べた栗田の情報『カテイホウカイ。ハハ、イエデ。デッカイヤシキニ、ネズミウジャウジャ。』という意味深な情報に少し興味を持ち始める。

一方、当の桃井の家庭では父は出張で家を空けていて、母と兄の三人で暮らしているのだが・・・

二つ上の兄は去年の夏ごろから学校に行かなくなり、部屋に閉じこもるようになった。

勉強も運動も出来、ほがらかで優しくて何でも出来る兄が、どうしてそうなったのかは分からないでいる。

・・・

栗田にも幼い妹がいてある病気にかかっているということや、家庭の不和・・そういったことが序々に明らかになっていく。
それでも栗田はなにがあってもうろたえず、びくびくしない・・
そんな栗田を見て桃井は・・?

一方、桃井の兄も少しずつ外へと目を向け始める。
栗田兄妹との絡みがあり、桃井兄弟の絆があり・・

そして最後には、栗田に出会ったことで前向きに、力強く成長する桃井がいるんです。

その爽快感。

ぜひ皆さんも味わってみて下さい。
清々しいことこの上なし!