No-music.No-life

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軽装版 風と行く者

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つれあいのタンダとともに、久しぶりに草市を訪れたバルサは、若い頃に護衛をつとめ、忘れ得ぬ旅をしたサダン・タラム〈風の楽人〉たちと再会、その危機を救ったことで、再び、旅の護衛を頼まれる。 シャタ〈流水琴〉を奏で、異界への道を開くことができるサダン・タラム〈風の楽人〉の頭は、しかし、ある事情から、密かに狙われていたのだった。ジグロの娘かもしれぬ、この若き頭を守って、ロタへと旅立つバルサ。 草原に響く〈風の楽人〉の歌に誘われて、バルサの心に過去と今とが交叉するとき、ロタ北部の歴史の闇に隠されていた秘密が、危険な刃となってよみがえる。 

上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズの続編。

続編とはいっても、現代と過去の話が交差しています。

シリーズが終わってもこうして続きが読めるというのは、幸せなことですね。

ジグロが生きていた頃(バルサ16歳)の話と、現代のバルサの話との対比。
若かりし頃の無鉄砲で無敵ではなかったバルサ。ジグロの圧倒的な存在感。
そして現在の過去の色々な経験を積んできたからこそ、あるバルサの安心感。

こうして地続きに物語が続いているのだと実感しますね。

そしてバルサとつれあいになったタンダとのゆったりとした時間、二人の信頼関係がとても微笑ましくて素敵でした。

もう続編はないんですかねー。
楽しんだシリーズなので、いつかまた読めることを期待したいです。
(4点)

小説「映画 ドラえもん のび太の月面探査記」

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 月面探査機が捉えた白い影が大ニュースに。のび太はそれを「月のウサギだ! 」と主張するが、みんなから笑われてしまう…。そこでドラえもんひみつ道具〈異説クラブメンバーズバッジ〉を使って月の裏側にウサギ王国を作ることに。そんなある日、のび太のクラスに、なぞの転校生がやってきた。


辻村深月さんの本です。

ドラえもんが大好きな辻村さんが、ついにドラえもんの映画の脚本を担当することに・・・!
相当嬉しかったのだろうなあと想像すると、こちらまで嬉しい気持ちになります。

ドラえもんは昔から好きでアニメを見ていましたが、大山のぶ代さんではなくなってからは全く見なくなってしまいました。
ただ、辻村さんが脚本を担当すると聞き、小説を読んでみようという気になりました。

文章で表現されるドラえもんのび太はなんだか不思議な感じでしたが、悪くない。
王道の展開(映画だとジャイアンがめちゃいい奴、どこかに落ちるシーンでもしずかちゃんだけはスカートもめくれず、皆が下敷きになってくれるので怪我をしない、ピンチの時に限って、ドラえもんのポケットからろくな道具が出てこない・・・等々)で安心して楽しむことができました。

いやー久々に、というかこの話だけはテレビで放送したら見てみようかな、と思えるしっかりとした作りでした。
宇宙のことを想像すると壮大過ぎてワクワクしますが、ドラえもんひみつ道具で想像を現実にできるとしたら、夢のある話ですよね。

扉のどこでもドアを開くと、ドラえもんのび太がお出迎えしてくれる仕掛けも可愛いです。
(4点)

桜ほうさら(下)

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拐かし、偽文書、家族の闇…ドラマの原作にもなった傑作時代ミステリー。
上総国搗根藩から江戸へ出てきて、父の死の真相を探り続ける古橋笙之介は、三河屋での奇妙な拐かし事件に巻き込まれる。「桜の精」のような少女・和香の協力もあり、事件を解決するのだが。
ついに父を陥れた偽文書作りの犯人にたどり着いた笙之介。絡み合った糸をほぐして明らかになったのは、搗根藩に渦巻く巨大な陰謀だった。真相を知った笙之介に魔の手が…。心身ともに傷ついた笙之介は、どのような道を選ぶのか。

宮部みゆきさんの本です。

下巻のほうが更に楽しめました。

人の闇というか、醜い部分も残酷なほどに描き、決して完璧なハッピーエンドで終わらないところが良かったです。

結局何も気づいていなかったのは笙之介だけで、周囲の人間に騙されていたともいえるのですが、長屋の皆さんや和香、関わってきた人々の優しさは本物で、思わず目頭が熱くなってしまいました。

淡い恋愛模様は良い雰囲気ながら、はっきりとはしていないので気になるー!
でもこれはこれで終わりで、悪くないです。
(4点)

桜ほうさら(上)

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人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる、宮部時代小説の真骨頂!
父の無念を晴らしたい――そんな思いを胸に、上総国から江戸へ出てきた古橋笙之介は、深川の富勘長屋に住むことに。母に疎まれるほど頼りなく、世間知らずの若侍に対し、写本の仕事を世話する貸本屋の治兵衛や、おせっかいだが優しい長屋の人々は、何かと気にかけ、手を差し伸べてくれる。
家族と心が通い合わないもどかしさを感じるなか、笙之介は「桜の精」のような少女・和香と出逢い…。

宮部みゆきさんの本です。

私が初めて読んだ時代小説は宮部さんの作品でした。
今まで苦手意識があったはずなのに、その驚くべき読みやすさ、時代設定に意外とすんなりと入っていけたのが印象的でした。

そんな宮部さんの久々の時代小説。

上巻はなかなか入りこめなかったのですが、謎解きの要素と淡い恋愛要素も入っていて、後半になるにつれて面白くなってきました。

下巻へ。
(4点)

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか

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太平洋戦争末期に実施された”特別攻撃隊”により、多くの若者が亡くなっていった。だが、「必ず死んでこい」という上官の命令に背き、9回の出撃から生還した特攻兵がいた。その特攻兵、佐々木友次氏に鴻上尚史氏がインタビュー。飛行機がただ好きだった男が、なぜ、絶対命令から免れ、命の尊厳を守りぬけたのか。命を消費する日本型組織から抜け出すには。

鴻上 尚史さんの本です。

恥ずかしながら、特攻隊として9回出撃して、生還し、戦後を生きた特攻兵である佐々木さんという方の存在を知りませんでした。

非常に丁寧で読みやすい文章なので特攻隊を扱った本という形でも読めるのですが、実際に佐々木さんにインタビューをしたときの話など、そんなことがあったのか・・・と思いながら読みました。

飛行機の技術もあり、ただ飛行機に乗ることが大好きだった佐々木さん。
生きて、敵を討つのはダメで、死んで戦果を挙げられなくてもそちらを命令される・・・なんと理不尽なことでしょう。

色々な本を最近読んでいるけれど、もう何が事実で何が嘘なのか分からなくなってきますね。

進んで特攻隊員になりたいと思ったのか、それとも命令なのか・・・

事実として日本は戦争をしているのに、肝心な部分の真実は闇の中です。

色々気になる本も紹介されていたので、機会があったらぜひ読んでみたいです。
(4点)

まほろ駅前狂騒曲

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いつもの奴らがなぜか集結―?まほろ駅前は大騒ぎさ!四歳の女の子「はる」を預かることになった多田と行天。その後なんとバスジャック(?)に巻き込まれることに―。いつもの奴らがなぜか集結―?まほろ駅前は大騒ぎさ!四歳の女の子「はる」を預かることになった多田と行天。その後なんとバスジャック(?)に巻き込まれることに―。 

三浦しをんさんの本です。

ずっと続編が出てるのだなあと思いつつ、なかなか読む機会がなく今頃読みました。

前作を読んでから大分時が経っているので忘れてしまっているかも、と思いましたが、読み始めたらちゃんと楽しめました。

まさか多田の恋がちゃんと上手くいくとは!(失礼ながら)

行天の娘を預かることになったり、怪しげな野菜販売の団体がいたり、バスジャックに巻き込まれたり・・・
微妙に繋がりがあるようなないようなものたちが、一斉に繋がる後半は、まさに「協奏曲」としか言いようがない感じでした。

そして最後にはちゃんと感動できて、やっぱりこのシリーズは良いですね。
もう続編はなさそうな終わり方でしたが、これで最後ですかねえ?
(4点)

地の星 なでし子物語:なでし子物語

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今のわたしは、あの頃なりたいと望んだ自分になれているのだろうか。

遠州峰生の名家・遠藤家の邸宅として親しまれた常夏荘。幼少期にこの屋敷に引き取られた耀子は、寂しい境遇にあっても、屋敷の大人たちや、自分を導いてくれる言葉、小さな友情に支えられて子ども時代を生き抜いてきた。
時が経ち、時代の流れの中で凋落した遠藤家。常夏荘はもはや見る影もなくなってしまったが、耀子はそのさびれた常夏荘の女主人となり―。

伊吹有喜さんの本です。

「なでし子物語」の続編が出ていたとは知りませんでした!

図書館で見つけて、続編の2冊を借りてきました。

これは・・・なんというか、できるならもう一度「なでし子物語」を読んでから読むべきだったと思いましたよ。
全然内容を覚えていないんですもの・・・。

しかも煬子が大人になっているじゃないか。しかも結婚相手が・・・?!

ということで、あれから12年後の物語。

結果的に、前作の内容を忘れてしまっていてもまったく問題なく楽しめました。
むしろ、読み始めはあまり馴染めなかった前作よりも読みやすくてわくわくする気持ちになりましたよ。

自分の力でお金を稼ぎたいと、スーパーで働く煬子。
しかし閉店候補になっているほど売り上げが低い店舗。
そこで売上アップに向け、様々なアイデアを出して実行に移していきます。

大人になっても控えめであまり外に出る性格ではないのは変わっていない煬子ですが、本作ではたくましい姿も見せます。

上手くいきすぎの感はあるものの、皆で協力し、考えて実行に移したことで新しい事を成し遂げていく姿は格好良かったです。
由香里のサバサバさも好き。

でも立海の気持ちが切ない・・・切ないわ・・・!

ということで、次の続編を読んでおります。
(4点)