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福音の少年

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十六歳の永見明帆は、同級生の藍子とつきあっていても冷えた感情を自覚するだけ。唯一、彼が心に留める存在は藍子と同じアパートに住む彼女の幼なじみ、柏木陽だった。藍子の様子がおかしい?そう気づいたある日、母親とけんかした陽が突然泊めてくれ、と訪ねてくる。その夜半、陽のアパートが火事で全焼、藍子も焼死体で発見される。だが、それは単なる事故ではなかった。真相を探り始めた彼らに近づく、謎の存在。自分の心の奥底にある負の部分に搦め捕られそうになる、二人の少年-

あさのあつこさんの最新作です。

あさのさんの描く、少年達はどうしてこんなにも魅力的なのでしょうか?
文章の巧みさは勿論ですが、二人の少年達にどんどん引き込まれていきます。

物語を読んでいくたび、自分も明帆と陽と同じ世界にいる人間のような気になってくる。
自分は、決して物語の主要な人物ではないけれど、同じ世界で、二人を見ているような。
不思議な気分になります。

主人公、明帆。
明帆の彼女、藍子。
藍子の幼馴染、陽。

藍子という存在でしか繋がりのなかった二人の少年は、藍子の死をきっかけに急速に近づいていく。

二人はそれぞれの思いを抱えながら、真相に迫っていく。

そして藍子が、事故ではなく、人の手によって殺されたという事を知る。

藍子だけではなく、何故アパートを全焼させる必要があったのか。
何故?どうして?何のために?

真相に迫るにつれ、二人はもがき、葛藤し、時にはぶつかりあう。

そして、ある男との出会いで、藍子が陰で「バイト」をしていた事実を知る。


知られざる真実、少年達の不安・葛藤。
近づく男の恐怖。

真実を知りたいが故、時に仲間をも騙し、一人で立ち向かおうとする明帆。


陽と明帆は、何処か陰の部分(人には決して見せない裏の部分)を持っていて、それは共通のものだと思っていました。
だけど、後半にいくにつれ、微妙に違うなあと感じます。

でもまたまたこのラスト。
まだまだ続きが有りそうな感じにも思えます。
本的にも厚みがあるし、あさのさんも最後まで書ききれなかったのかなあ?感がありますね。

でも、ページをめくるスピードも早くなってしまうような。
次が気になって気になって仕方ない感じなんですよね。

二人の少年達に、まんまとはまってしまいました。

あさのさんの次の作品は、待望の「NO6」の第四巻。
すっごく楽しみにしていた本なので、期待を膨らませております。