少年犯罪における贖罪の意味を問う意欲作 妻を3人の少年に殺された過去をもつ桧山貴志。4年後、少年のうち一人が殺された。疑惑の人となった桧山は自ら、何が少年たちを犯罪に追いこんだか探り始める。
薬丸岳さんのデビュー作。
「Aではない君と」がかなり自分好みの作品だったので、ではデビュー作はどんなものなのか?と思い借りてみることに。
結果、めちゃくちゃ好みでした。
デビュー作でこれだけのものをかけるっていうのがまず凄いです。
巻末に選考委員の作家さん方の書評が掲載されていますが、薬丸さんの作品がどれだけ群を抜いていたかというのがよくわかるので最後まで読んでほしいですね。
自分が以前住んでいた地名や馴染みのある名前が色々出てきたのでイメージしやすかったのもありますが。。
何故妻が殺されたのか、犯人のその後は?そして明かされていく真実と妻の過去は。
犯人や真相が誰なのかというミステリ展開も面白いですが、最愛の妻が事件に巻き込まれて亡くなった男と、残された子供への愛情、社会派ミステリともいうべき内容でぐいぐい引き込まれました。
本当に身勝手ですが、同じ「殺人」とは一息にいっても、殺人の背景やその人に共感できるか否かで罪の重さを感じるのに偏りがあるのに気づき、何とも複雑な気持ちになりました。
やっぱり薬丸さんの文章もストーリーもかなり好みだと実感。
他の作品も読んでみたいと思います。
(5点)