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おやすみラフマニノフ

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第8回『このミス』大賞受賞作『さよならドビュッシー』の作家・中山七里氏の第2作目です。秋の演奏会を控え、第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室の空間で保管されていた、時価総額2億円のチェロ・ストラディバリウスが盗まれてしまう……。果たして無事に演奏会を迎えることができるのか。ラフマニノフチャイコフスキーなどの名曲が、情熱的に、力強く描かれるなか、天才ピアニストにして臨時講師・岬洋介が鮮やかに事件を解決する!


中山七里さんの本です。
 
第8回・このミステリーがすごい!大賞を受賞したデビュー作「さよならドビュッシー」の記憶も新しいですが、最近文庫化されたので、ぜひともこの「おやすみ~」を読む前に復習もかねて再読するか、初見の方はまずはデビュー作から読んでみてはいかがでしょうか。
 
お薦めされていたのにも関わらずなかなか読む事ができなかった本作です。
予約していてずっと待っていたのですが、呆気なく地元の図書館にあったので借りてきました。
 
二つ、残念だったことが。
音楽(特にクラシック)に詳しくないので、中山さんが得意とする音楽を題材とした表現力の豊かさに引き込まれつつ、実際の音楽を頭の中で鳴らしたり、楽器の音を思い浮かべたりすることが難しかったこと。
表現力があるので想像だけはできるのですが、実際の音を、音楽を知らないというのがこれほど惜しいと思ったことはないかもしれません。
そしてもう一つ、最初にも言いましたが、これは前作の「さよなら~」の続編とも呼べる作品になっています。
前作で登場した女の子もちらっと出て来ますし、共通する人物も出てくるのですが、読んでから大分時間が経っていたので、いかんせん記憶が・・・。
時間があったらまた読み直したいな。文庫版も出たことだし。。。
 
それにしても、音楽とミステリの融合とは斬新です。
二作目とは思えない程文章も癖がなくて読みやすいですし。
何よりミステリとこじつけ感がなく、音楽を志すものの物語としても読めるし、と同時にミステリも楽しめちゃう感覚は新しいと思います。
 
今回は誰かが殺されたり死ぬ人は出ないので、人が死ぬミステリばかり読んでいる身としてはちょっとばかり物足りないのですが(不謹慎ですが)、日常(でもないか)に潜む謎を解く、という点では立派にミステリ作品だと思います。
 
涼しい顔をしてさらっと何でもこなしてしまう岬先生の飄々としているところも好き。
このシリーズ、続くのかな?
 
ページ数はそれなりなのに、文章がびっしりなので読むのに時間はかかりました。
それでも面白かったので満足です。
文庫でも新刊が出ていたような。そちらも読んでみたいです。