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さしすせその女たち

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39歳の多香実は、5歳の娘と4歳の息子を育てながら、デジタルマーケティング会社の室長として慌ただしい毎日を過ごしていた。仕事と子育ての両立がこんなに大変だとは思っていなかった。ひとつ上の夫・秀介は「仕事が忙しい」と何もしてくれない。不満と怒りが募るなか、息子が夜中に突然けいれんを起こしてしまう。そのときの秀介の言動に多香実は驚愕し、思いも寄らない考えが浮かんでいく―。


安定の面白さ。とにかく文章が読みやすいのとストーリー展開が上手いんだよなあ。

出産はおろか、結婚すらしていない私でも、子育てって、夫婦って大変・・・!とリアルに感じるくらいの話でした。

主人公は妻であり、母であり、仕事では室長として役職を持った女性。
仕事に没頭したいと思いつつ、子育てと家事との両立でなかなか難しい。
そして家事も育児もほとんど手伝ってくれない夫に対しての不満は募るばかり。

女性が子供を育てながら働くという鏡になりたいと思うのに、部下は出産・結婚で退職をしてしまう。これが現実なのかなと思うと切ないですね。

離婚を考えつつも、そういう可能性もあると今はまだ保留するたくましさもあり、暗い展開にならずからっとした前向きさを感じて好みでした。

書き下ろし短編「あいうえおかの夫」では、その夫目線の話で、あの時こんなことを思っていたのか、と思いながら読めて面白かったです。
(4点)