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サーモン・キャッチャー the Novel

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君の人生は、たいしたものじゃない。でも、捨てたものでもない。場末の釣り堀「カープ・キャッチャー」には、「神」と称される釣り名人がいた。釣った魚の種類と数によるポイントを景品と交換できるこの釣り堀で、もっとも高ポイントを必要とする品を獲得できるとすれば、彼しかいない、と噂されている。浅くて小さな生け簀を巡るささやかなドラマは、しかし、どういうわけか、冴えない日々を送る六人を巻き込んで、大きな事件に発展していく―

道尾秀介さんの本です。
 
ケラリーノ・サンドロヴィッチの映画は、いつも気になると思っているうちに公開が終わってしまって、実は一度も見たことがない。
けれど、そのイメージ通りの展開という感じの話でした。
 
道尾さんは大好きな作家の1人なので、勝手に期待値を上げ過ぎてしまうのですが、最初はあまりに登場人物が多いし、どういう繋がりなのかが全然見えてこなくて、あーこれは途中で挫折してしまうパターンか?!と初めて思うような感じでした。
 
ただ、少しずつこの登場人物達がリンクしていくにつれ、無駄だと思ったあの描写が、一つも無駄なことがないことに気付いていきます。
 
勘違いに勘違いを重ねた結果の奇妙な偶然。
伊坂さんの物語的な、という感想も多かったですが、そこは道尾さん、あっ!と思う展開を書くのが上手くて、ユーモアと驚きの溢れる物語を、最後には楽しむ事ができていました。
 
いつもの道尾さん的な展開を想像して読むとちょっと序盤はとっつきにくいと思いますが、そこで諦めることなくぜひ最後までどうぞ。
(4点)