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怒り(上)

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整形した殺人犯・山神はどこに? 房総の港町で暮らす愛子、東京で広告の仕事をする優馬、沖縄の離島へ引越した泉の前に、それぞれ前歴不詳の男が現れる。

吉田修一さんの本です。
 
映画版を先に見ていて、原作もぜひ読んでみたいと思っていました。
 
いや・・・もうなんていうか、凄いですね。
圧倒的な吸引力っていうんでしょうか・・・
 
読み始めてからずっと続きが気になって仕方がなくて。
 
映画版もかなり満足していたのですが、読みながら脳内では映画版のキャストで物語を再生していました。
(愛子はちょっと原作と違って可愛すぎますけどね)
 
映画版では広瀬すず演じる泉にある悲しい出来ごとが起こりますが、原作版ではより女子高生らしい瑞々しく明るい感じが強くて、少し印象が違いました(原作の泉のが好きかな)。
そしてより泉がどうして各地を転々としているかの詳細であるとか、しょうもない母親と思いつつも垣間見える愛情であるとか、そういった心の機微が伺えるのが原作本のいいところ。
展開も無人島で田中と出会ってからも基本的にほがらかな展開が続き、映画で先に知っている展開に果たしてなるのだろうか?と思う展開でした。
 
また、愛子サイドの話と優馬サイドの話、特に優馬の話はよりリアルに感じられて一気に物語の世界感に入り込んでいました。
 
そして映画版では最近気になる三浦貴大さん演じた北見の話が入ってきて、個人的には嬉しかったです。(ただ、下巻で一番謎が残る展開のまま終わってしまったのが気になるところですが・・・)
 
そして愛子の父の姪である明日香が割と登場するんですが、池脇千鶴のイメージにぴったりで、原作を読んだ事によってより物語の深さを感じられた感じでした。
 
というわけで一気読みした上巻。下巻へ続きます。
(5点)