No-music.No-life

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スタフ staph

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ランチワゴンは疾走する。
危険な中学生アイドルを乗せて。

街をワゴンで駆けながら、料理を売って生計を立てる女性・夏都(なつ)。 偶然にも芸能界を揺るがすスキャンダルを知ってしまった彼女は、 その流出を防ぐため、緑色の髪をしたアイドル・カグヤと協力することに。
ある女性の携帯電話に残されたメールを削除するという、 難しくないミッションのはずだったのだが――

道尾秀介さんの本です。
 
のっけから持ってかれました。
同年代の女性というのもあると思いますが、なんでしょうね。読み始めてからぐっと世界感に引き込まれていた感じです。
 
移動デリで働く夏都。
そこに数回に分けて同じメニューのおにぎりを買い求めにきた不審な客。
そしてワゴンごと突然の拉致。
 
何故自分が連れ去られなければいけないのか?
全く身に覚えのないところから、とある芸能人の過去のスキャンダルを知ってしまった夏都が、何故か協力することになり・・・
 
物語の展開としては、このメインの話であるカグヤの姉のスキャンダル流失を止めたいということに協力することによって、どんどん事件が不可思議な動きを見せ始めるという面白味がまずあります。
この話だけでも「え?なになに?どういうこと?」と登場人物が皆怪しく思えてくるような展開なのですが、最終的にこの大本が誰が仕掛けていたのか、という答えが出されるあたりから、違った様相を見せ始めます。
 
こっちについてはおおよそ予測はついたのですが、まだページ数があるな・・・なんだろ?と思っているところに、最後のどんでん返しな展開が・・・・!
 
そのどんでん返しは更に、「母親と子供」とは何か。子供が抱える孤独。言葉にしなくても抱えている思い・・・などといった、切なくやりきれない展開です。
一体どうしたら良かったのか、どうするべきなのか。
伯母として、甥にできることは何だったのか・・・夏都の複雑な思いと、こじれ過ぎてどうにもならなくなった甥と。
 
変な先生としか思えなかった菅沼の最後の語り(過去の話)は、なんかぐっときちゃいましたね。。
その話を考えながら、甥っこの事を思う夏都の心はいかばかりか・・・
 
久々に道尾作品の中でヒットでした。また読みたいです。
(5点)